+ 謎 +
「ちょっ!待て忍足!!」
「なんや?宍戸」
「あれ見ろ!あれ!!」
宍戸が指差す方へ忍足も目を向ける。
すると向こうも忍足と宍戸の存在に気付いたようだ。
「岳人!ジロー!!」
「侑士・・・宍戸?」
「よかったぁ!!」
4人は合流することに成功し、お互いの状況を教えあった。
「じゃあ宍戸達は殴られて部屋に閉じ込められてたんだね?」
「あぁ。お前らもバラバラになってたなんてな・・・畜生。忍足の幽霊まで出やがったか」
「俺、侑士が偽者だってちゃんとわかったんだぜ!!」
「そーか。そーか。おおきになぁ岳人」
「跡部達は3人でいるから安心として・・・心配なのは日吉だな」
「なんで日吉を別行動させたん!危険なんはわかるやろ!?」
ジローは忍足の目を真っ直ぐ見ながら頷いた。
「でも日吉は約束してくれた。絶対に戻るって」
「せやけど・・・!!」
「忍足。」
宍戸が忍足を止める。
すると忍足は「はぁ・・・」っと溜息をついて仕方なそうに苦笑した。
「しゃーないな・・・日吉やし」
「言って聞くような奴じゃねぇよ」
「でもさ!これからどう動く?どんどん幽霊達も増えていってるしさ」
「とりあえず跡部達と合流やな。さっき聞こえたピアノも気になるし」
「じゃあ決まりだね」
「あ!ちょっと待てジロー、向日」
2人が足を止めて振り返ると宍戸は制服のポケットの中から1枚の写真を取り出した。
「ジロー。お前
から姉妹がいるって話聞いたことあるか?」
「えっ?うん。あるよ」
「それって妹やった?」
「妹?違う違う!
にはお姉ちゃんがいたんだよ!」
笑顔で言ったジローの言葉に岳人が眉をしかめて聞き返した。
「ジロー。「お姉ちゃんがいた」ってどういうことだよ?」
するとジローの顔が一瞬暗くなった。
そんなジローの顔に、全員眉をしかめる。
「
のお姉ちゃんね・・・だいぶ昔に亡くなってるんだって」
「えっ・・・」
「なんやて・・・!?」
忍足が思わず聞き返す。
宍戸も岳人もジローを見つめたまま固まってしまった。
「
がまだ小学生のときに病気で亡くなったんだって。
優しいお姉ちゃんだったんだよ!って
が嬉しそうに話してくれた」
「そうか・・・」
「なんで急にそんなこと聞くんだよ?」
「見ろよ。俺達が捕まってた部屋で見付けた写真だ」
ジローと岳人は写真を受け取ると、そこに写っていた人物に目を見開いた。
「「
!!?」」
そこには、
と小さな女の子が仲良く手を繋いで
満開の桜の木の下で笑っている様子が写されていた。
「
・・・だよな?」
「なんでこんな写真がこの館に・・・それに隣にいる女の子は誰だろ?」
「さぁな。わかるのは
が完璧に幽霊達と・・・そして黒幕の奴と関わりがあるってことだ」
「信じたくないんやけどな・・・」
再び静寂が訪れた。
ほんの数分だったはずだが、かなり長い時間に感じられた。
「捜そう・・・」
「えっ?」
独り言のように・・・呟くように・・・。
小さく言った岳人の言葉に全員が目を向けた。
「幽霊達の言ってたピアノの演奏してる奴・・・この館のどこかにいるんだろ?捜そう」
「確かに・・・それが1番手っ取り早いんだよね」
「せやなぁ。うまく行けば館から出る方法もわかるかもしれへんし・・・」
「決まりだな」
「だね。」
4人は同時に身を翻すと暗闇の続く廊下の奥へ奥へと足を進めていった・・・。
■
「主様。彼らをここへ呼んだ理由を・・・教えて頂けませんか?」
「簡単な事。私が呼んだのはあの子だけ・・・他はおまけで付いて来ただけよ」
「おまけ。フッ・・・なるほど」
「なら、そのおまけ達は俺達がどーしようと勝手なわけだ?」
入り口に目を向けると1人の男がニヤニヤした様子で冷たい目を向ける男の肩に手を置いた。
「いたのか。」
「よう。お前は・・・日吉だったか?」
「あなたは跡部でしたね。残りは?」
「まだ歩き回ってる。別にいいだろ?全員体ができて喜んでんだ」
「私達のやるべき仕事も忘れないで下さいよ・・・?」
「わかってる。
を、我らが姫の元へ・・・だろ?」
+ ―――――――――― +
弱きものは仲間を集め。
強きものは仲間を作る。
弱きものが集まったからって・・・
強きものに勝てると思ってるの?
2007.4.28