+ 始 +















「強化合宿?」






私。氷帝学園テニス部マネージャー は人数分のタオルを用意しながら聞き返した。






「あぁ」






テニス部の部長である跡部もまた、短く返事を返してきた・・・。










梅雨も過ぎて暑くなってきたこの季節。
跡部が急にそんなこと言うもんだから氷帝のテニスコートではざわめきが起こっている。






「今年は全国出場が決まった。そこで、急ではあるが
  夏休み初日から俺様の別荘で強化合宿を行うことにする」

「夏休み初日って明日じゃん!!しかもそれって本当に強化合宿なの?
  俺様の別荘でリゾート気分♪の間違いじゃない?」

「フッ。別荘にはテニスコートも完備してあるからな。合宿もリゾートもどっちもできるぜ?」






うわー。可愛くない!
ニヤッと得意そうに笑う跡部を見て私は溜息をついた。










「よっしゃー!リゾートだってさ!!」

「やったー!!俺、海行きたE−☆」

「お前ら遊びに行くんじゃねぇんだぞ」

「いいじゃないですか宍戸さん。楽しみましょうよ」

「お前はそう甘いことばっかり言ってるからダメなんだ。鳳」






すでに合宿へ行く気満々のレギュラー陣。






そうだよねぇ・・・なんてったって全国出場が決まったんだもん!!
1回諦めた全国へ行けるんだもん!!燃えるよね!!!!















「頑張ろうね・・・跡部」






私の声が聞こえたのか聞こえなかったのか・・・。
跡部はフッと軽く笑みを浮かべるとレギュラー陣に向かってパチンッと1つ、
お得意の指を鳴らしておしゃべりを止めた。








「出発は明日。遅刻すんじゃねぇぞ」















こうして氷帝テニス部の夏休みは始まった。










それと同時に始まった悲劇への前奏曲に、気付きもせずに・・・。














+ ―――――――――― +

始まった悲劇へのカウントダウン。

さぁ、奏でましょう。

歓迎の演奏を・・・・・。







2006.7.9