「杏!とりあえずコッチおいで!!」
「
ちゃん!!」
「ま、待ちやがれ!!」
Story41. エロシスト
ボールを顔面にくらった男はヨロヨロと立ち上がると、私を鋭い目付きで睨み付けた。
「チッ・・・! 打ち込み方が甘かったか」
「いや十分じゃね? すげぇ音したもん」
「やっぱ鈍ってきてるなぁ。現役の頃はこれで病院送りに出来たもん」
「どんなサーブだよ!一体!?(汗)」
鬼太郎のツッコミを 華麗に受け流し(流すな)
私の目は未だに杏の腕を掴んで離さない・・・あの男に向けられた。
「俺様にボールをぶつけるとはいい度胸してるじゃねーか。あーん?」
「はぁあーん?(張り合うな) あんたこそ・・・
私の杏に手ぇ出すとはいい根性してるじゃない(決してお前のものではない)
つべこべ言ってないで手を離しなさい!!」
「ハッ!こいつが言い出したんだぜ?ここにいる全員を倒したら・・・デートしてくれるってな」
その言葉に、杏は眉をひそめ申し訳なさそうな目を私に向けた。
「
ちゃん・・・ごめんね」
「杏。あんた何でそんなタンカ切ったの」
「だって!こいつがストリートテニスを・・・」
「弱者のたまり場・・・ってか?」
キッ!と杏の鋭い目が男に向けられた。
ヤバッ!今の杏めっちゃ可愛い!!(言ってる場合か)
「ところでお前・・・名前は?」
「はっ?」
「名前だ。俺様にこびねぇ上に、ボールをぶつけてくる女なんて初めてだ。気に入ったぜ?」
「困ります(真顔)」
どんだけナルシストだこいつ!?そして超プラス思考!!
いや、確かに綺麗ではあるが・・・ 問題は性格だ!!(失礼)
1歩1歩近付いてくる男を睨み付けながらも、私は引かず堂々と立ち続けた。
「ひ、人に名前を聞く時は自分から名乗ったら?」
「あーん?フッ・・・、それもそうだな。俺様は氷帝学園3年、跡部景吾だ」
「跡部・・・?」
「桃、知ってるの?」
桃は視線を跡部に置いたまま、そっと私に耳打ちした。
「都大会No.1シード・・・氷帝学園の部長だな」
へぇ・・・。
いいなぁ、学校の名前普通にかっこよくて(そこかよ)
「で?お前は」
「青学2年、手塚・・・
」
「また会おうぜ。今度会ったらその時は・・・」
クイッ・・・。と顎を持ち上げられると、跡部の顔がどんどん近くなって思わず体が固まった。
「お前を俺様の女にしてやるよ・・・」
チカンッ!!!(アカンッ!!)←?
グッ!!と右拳に力を込めると、後ろから桃がそっとその腕を止めた。
「なっ!?」
「おっと。そこまでっスよ、跡部サン?」
後ろから回された腕に引き寄せられると、桃が私の体を跡部から離して包み込んだ。
筋肉質な腕が私の身体を抱きしめる。
「こいつ、うちのマネージャーなんで・・・」
「お前は?」
「青学2年テニス部、桃城 武。ヨロシク!」
「フンッ。おもしれぇ・・・まぁ、今日の所は見逃しておいてやるよ。行くぞ、樺地」
「ウスッ」
何か企むような笑みを残して・・・氷帝学園テニス部部長、跡部景吾は去っていった。
そんな後ろ姿を見ながら、テニス場にいる全員は同時に同じ事を思ったという・・・。
あの人(樺地)・・・ずっといたんだぁ・・・。
「な・・・なんだったのあの男!?あのエロシスト!!(エロい+ナルシスト)」
「すげぇオーラあったなぁ・・・。本当に中学生か?あれ」
「
ちゃーん!!」
ハッ!!
急いで振り返ると杏がこちらに向かって走ってくるのが見えた。
受け止めた後、思いっきり抱きしめていると鬼太郎が拳を震わせながらこちらを見ていたので、
とりあえず・・・「どーだ?羨ましいだろぉ?」・・・と、目だけで自慢しておいた(悪魔)
「
ちゃん!ありがとう、助かったわ!!」
「惚れた?(笑)」
「惚れた!(笑顔)」
ズドッキューン!!(何?)
お母さん!お父さん!!私はついに嫁を手に入れました!!(待て)
「
ちゃんが私のこと「杏ちゃん」じゃなくて「杏」って呼んでくれて嬉しかったわ!!」
「あ、気付かなかった・・・いきなり呼び捨てにしてごめんね」
「ううん!いいの。出来ればこれからも「杏」って呼んで?」
えっ?「嫁」って呼んで?(言ってない)
「あー!もう!!杏ってば可愛い「おら!そろそろ帰るぞ。
」
せっかくいいムードだったにも関わらず、桃が私の襟首を引っ張るせいで杏から引きはがされてしまった。
「なによ!元々は桃を探しに来たんでしょーが!!」
「あ、そっか。じゃあ早く帰らねぇとな!またなー神尾!橘妹!」
「杏!鬼太郎!バイバーイ!!」
そして新たなる敵を1人加えながら・・・都大会へ挑む。
あれっ?あのエロシスト・・・名前なんだっけ?(もう忘れた!?)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「杏ちゃん」から「杏」に昇格。
テニプリの女軍の中で杏ちゃんが1番ツボだったなぁ。
可愛いうえにちょっと気が強いところ!!
いやぁー。いつか泣かせ・・・(強制終了)
2009.12.23