「ああー!切った!眼だ!!」
「すげぇ血だ!!」
リョーマ・・・。
「リョーマ!!!」
Story32. 泣きっ面に卵様
兄貴の判断でリョーマをベンチに戻すと、すぐに大石くんが傷の具合を見た。
「ダメだ。血が止まらない」
いくらハンカチで押さえても傷口から血が止めどなく流れてきた。
「眼球は大丈夫そうだけど・・・まぶたの肉がパックリえぐられてる」
「うひー。痛っそ・・・」
私はすぐさま持ってきていた救急箱を持ってベンチに入った。
「よう越前!壊れちまったラケット、バッグに入れとくぜ」
コートで破損したラケットを見て桃が言うと、リョーマはとんでもない答えを返した。
「桃先輩。ついでに代わりのラケット1本出しておいて下さい」
「なっ・・・!!」
「無茶だ!その傷ゴッ!!
「大石ぃー!!?(滝汗)」
おっと。手元が狂った。
私が投げた救急箱は見事大石くんの頭にクリーンヒットした☆(しかも角!)
うん。大石くん倒れてるけど・・・まぁヒビが入ったくらいだろ(入らねぇよ!!)
「リョーマ!あんたバカ言ってんじゃないわよ!そんな重傷で試合に出せるわけないでしょ!?」
むしろ負傷者増やしてるんですけどぉー!!?(周りの声)
「や・・・やるよ」
「ダメ!」
「ヤダ」
「絶対ダメ!」
「絶対ヤダ!!」
「そんな子に育てた覚えはありません!!(当たり前だ)」
睨み合いが続くなか、隣のベンチからスミレちゃんの声が響いた。
「リョーマ!ちょっとおいで!!
は救急箱貸しな!!」
「へ、ヘイッ!?」
急いで倒れていた大石くんをどかし(ひどい)
投げた救急箱をスミレちゃんに渡すと素早い手つきで処置を施した。
「血が止まった!」
「いや、一時的に止めたにすぎんよ。もって・・・15分が限界だろう」
すっ・・・すげぇ!!
「すごいよスミレちゃん!ピンクジャージパワー全開!!って感じね!!」
「やめんか!!(怒)」
うをぉ・・・!!す、すげぇ迫力だ。
さすがピンクジャージパ(まだ言うか)
「越前。ラケット!」
「どうも。桃先輩」
ラケットを受け取ろうとするリョーマのジャージを、私は急いで引き戻した。
「ちょっと待てぇーい!あんたは病院!!」
「俺やれるよ」
「やれるわけないでしょ!眼なんだよ!?」
「でも・・・」
「リョーマ。お願いだから・・・」
ギュッ。っとジャージを握りしめると思わずウルッと目の奥が熱くなった。
「やめて。心配なの・・・」
「
先輩・・・」
リョーマはフッと目を細めると笑って私の頬に触れた。
「
先輩。そんな顔されたら・・・俺」
バコッ!!
鈍い音と同時にリョーマの近付きかけていた顔が痛そうに歪む。
兄貴がリョーマのラケットで頭を殴った音だった・・・。
その後ろで不二くんが笑ってる。
なぜだろう?笑顔なのにものすごく冷たい。
「あ、兄貴・・・?」
「10分だ。10分でケリがつかなければ棄権させるぞ。いいな(威圧感)」
「むしろ今僕が棄権にさせてもいいくらいだよ(笑顔)」
いやいやいやいや!!それってまさか棄権させるの意味違くないですか!?
しかも何で兄貴が不二くんと同じオーラ発してんの!!?(汗)
「じ、充分!」
リョーマは強がって笑っていたが、あの音は相当痛かったに違いない。
伊武はかなり手強い・・・。
10分で決着なんて、出来るの?リョーマ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
手塚よ。ラケットで人を殴ってはいけません!!
でも、あのままだったら不二が何かやったに違いない・・・。
こここ、怖っ!!(ガタブル)
2009.2.21