「不動峰が青学に・・・先勝」
「これは分からなくなってきたね」
ベンチに座っていた菊ちゃんと大石くんが同時に立ち上がった。
「ダブルス1メンバー前へ!!」
Story26. マムシっちが進化した!
無名、ノーシードだった不動峰が青学に先勝したことによって、会場は今までとは違う空気へ変わった。
そんな中始まった第二試合。
「菊ちゃん、大石くん!ファイトー!!」
ゴールデンペアと名高い2人の相手はキャップをかぶった内村という男と・・・
地味過ぎて読者から忘れ去られてはいないかと心配になる森という男だった。
(再び待て。その紹介文)
「ほいっ!」
早速、前衛の菊ちゃんが攻めたかと思うと内村はニヤッと笑みを浮かべた。
パアァン!!
「体勢が崩れた所の顔面ねらい!?」
打ち返された球は真っ直ぐ菊ちゃんの顔面に向かって飛んできた。
「危ない!!」
誰もが身を乗り出した時・・・菊ちゃんは腕を回して信じられない体勢からその球を返した。
「スゲー!何だ今の!?」
「何て動きをしやがんだ・・・あいつ」
対戦相手でなくても驚く菊ちゃんのプレー。
本人は頭をポリポリとかきながらラケットを回して余裕の顔をしてみせた。
「なんじゃらホイホイ」
猫っ!!(ブハッ!)
私の目にオプションで猫耳が付いているように見えたのは言うまでもない。
ヒュウゥ・・・・・。
「寒っ・・・。空気が冷たくなってきたなぁ」
そう思った矢先、不動峰の鬼太郎と伊武が応援席から出てきた。
おそらく・・・出番が近付いてきてのアップのためだろう。
「さすがにあのダブルスは強いな。オレ達シングルス陣の責任は重いぜ」
「自信がない?」
「バッカ言え、逆だろ。自信ありまくり♪橘さんまでまわんねぇよ」
おっ。言うねぇ。
2人のアップの様子を見ていると青学の応援席からマムシっちが出てきた。
「おい。そこの・・・何か言ったか?」
ケンカ売ってるよこの人!(汗)
マムシっちの存在に気付いた鬼太郎はポケットの中からボールをもう1つ取り出すと至近距離で伊武と打ち合いを始めた。
「ほぉー!2つのボールをあんな至近距離で・・・」
しかも挑発しているのか、鬼太郎はニヤニヤとマムシっちを見て笑った。
ぎらんっ!!
キレたぁー!!(爆)
マズイまずい!マムシっちキレてます!
試合前なのに対戦相手とゴタゴタなんてマズイでしょー!!
どうにか止めようと辺りを見渡したら丁度いいところに堀尾がいたので・・・
とりあえず・・・堀尾を蹴り飛ばしてみた(なぜに!?)
「堀尾、いっきまーす!!」
「へっ?ギィヤァアー!!」
ドーンッ!!
「グハッ!?」
蹴り飛ばされた堀尾は見事マムシっちの背中に激突☆
派手に顔面からスライディングを決めた。
フゥ・・・。
これでバッチリ☆(何が)
「あっ、
・・・」
打ち合いをしていた2人は突然の事故に驚いたせいかラリーをするのを止めた。
(事故って言い切ったよこの人!)
「キ・・・キサマァ!」
「ヒィ!お、俺じゃないですよ!!
先輩っスよ!!(泣)」
「あぁ!?」
マムシっちは立ち上がると私を睨みつけてきた。
「はいはーい。マムシっち喧嘩はいけませーん」
「誰がマムシだ!俺は海堂薫、いい加減覚えろ!!(怒)」
「マムシと呼ばれて悔しかったら進化してみろ!!」
「なんでだよっ!!(激怒)」
「ギャハハハハ!!マムシだってよ。ピッタリじゃねぇか!」
「「うるせぇ!お前は鬼太郎じゃねぇか!!」」
「何でハモんだよ!?(汗)」
マムシっちと鬼太郎が詰め寄った瞬間、そばにいた伊武は鬼太郎の襟首を・・・
私はマムシっちのジャージをガッ!!とつかんだ。
「帰るよ・・・。神尾」
「いい加減帰ろう!マム・・・あー。薫っち!!」
「離せよ深司!もう頭にきた!!」
「・・・けっ」
薫っちは私の手を払い除けるとユラー・・・ッとコートの方へと戻っていった。
「まったく世話のやけるー」
もとはと言えばお前が原因だろ!!
そんな神の声を華麗にスルーし(オイッ)私もコートへ戻った。
「ん?雲ゆきが・・・」
これから降る雨が、私にとって大きな変化への鍵になるとは・・・その時はまだ、考えもしなかった。
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「マムシっち!」から「薫っち!」に
呼び名を変更してみたんですけど、どうでしょう?
理由は個人的に「薫っち」の方が呼びやすいし
なんか仲良さげ?に思えたんですけど・・・。
皆さんはどう思います?
2008.7.30