「ちょっと行ってくるねー」
「・・・こんな暗いのに出かけるのか?」
「うん。友達と約束なの!いってきまーす♪」
バタンッ!!
Story16. 男はやっぱり・・・
星が出始めている夜空の下。
テニスバッグを背負って家を出ると自転車に股がり、鼻唄なんか歌いながら目的地に向かって走り出した。
夜風を感じながら走ること数十分。
「はい到着なり。ストリートテニス場☆」
自転車をおりると鼻唄も最高潮♪
ライトアップされたコートに続く階段を軽快に上がっていった。
んがっ!?(何!?)
「桃!リョーマ!?」
「あれ?
じゃん」
「何やってるんスか?」
それはこっちのセリフだっつーの。
まさか2人がこんなとこにいるなんて・・・。
しかもやる気満々なのか着替えちゃってるしね。
「
先輩もテニスしに?」
「それもあるけど・・・待ち合わせ」
「誰と?まさか・・・」
リョーマが何か問おうとしたその瞬間。
私の意識はグルッと違う方向へ向いた。
「
ちゃーん♪」
「(ぱぁあ!)杏!!」
振り返った先にいたのは走ってこちらに向かってくる・・・
マイ・エンジェル杏ちゃんだった。(マイ・エンジェルって・・・)
「久しぶりね!
ちゃん!!」
ガフッ。(吐血)
あー。可愛いー。すっげー可愛い。こんな子お嫁に欲しい。(違うだろ)
「
。誰だ?友達?」
「ん?うん。可愛いでしょー!1度テニスの試合したことがあって仲良くなったの。ね?杏」
「ね。
ちゃん♪」
カワッ・・・あーもう!!この子襲っちゃっていいですか!?(激しくダメです)
「それよりあんた達・・・もしかして試合する気?」
「そうそう!越前と決着つけてやろーと思ってさ!!」
「決着つけるのはいいけど・・・」
「なに?」
「ここダブルス専用」
「「・・・・・・・・・・・・・・・。」」
かくして・・・2人はダブルス試合を申し込むことになった。
こんな2人にダブルスなんて出来んのかねー?
出来ないに100円♪(コラッ)
ここのストリートテニス場のルールはダブルスのみの試合で1ゲーム形式。
負けたら交替。挑戦者である桃とリョーマにはサーブ権が与えられる。
「ってことは勝てても1回・・・かな」
「よしっ。行くぞ越前」
「ウィーッス」
1回目の試合。
桃の強烈サーブとリョーマのツイストサーブが会場の空気を変えた。
「何だあいつら!?」
「サーブだけで勝っちまった!!」
「さあ、次の方々は?」
調子に乗ってきた桃とリョーマ。
まぁあの2人ならここらの奴らより強いだろう。
でも・・・これはダブルスだ。
「俺たちが挑戦するよ」
名乗り出てきたのはここのストリートテニス場のリーダー的存在とも言える
「布川&泉ペア」
名前もよく聞く。なかなかのペア。
バシィ!!
「「うっ」」
サーブを打ってすぐ、桃とリョーマの間を狙ってきた。
案の定2人でボールを追ってお互い鉢合わせ。
脇を狙われればお互い動けず綺麗にスルー。
お前らフォローって言葉知ってる?
「ゲームセット!!」
あははは!!負けてる負けてる!!
無様にも負けた2人はトボトボとこちらに戻ってきて再び制服に着替始めた。
「かっこ悪ぅー」
「「・・・・・・・・・・・・・・・。」」
「あんなのダブルスじゃないね」
「しょーがねぇじゃん。俺たちダブルス初めてだったんだぜ?」
「それにしたって天下の青学レギュラーが聞いて呆れるわ。気付いた?」
「何がっスか?」
「あの泉・布川ペア。玉林中の名ダブルス!次の対戦相手だよ」
バッ!と同時に顔を上げる2人。私はニヤニヤと笑みを浮かべた。
「・・・桃先輩。俺あさっての試合でシングルスって言ったの撤回するっス」
「奇遇だなぁ。俺も撤回するぜ」
「「やっぱ男はダブルスでしょう!!」」
これが、迷ダブルスコンビ誕生の瞬間だった。
地区予選大会。面白くなりそうです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
橘 杏ちゃん。
テニスの王子様数少ないカワユイ女の子!
好きです杏ちゃん。
なのであえての友達設定・・・(願望?)
2007.10.20