私の好きなタイプは優しい人。

それでもって私のこと大切にしてくれて・・・ちょっと大胆な人がいいな!なんてね。

つまり早い話が・・・アイツとは正反対な人。








直になって








。ホラッ」

「・・・なによ?」

「見てわからねぇか?職員室に届ける予定の日誌だ」

「見ればわかるわよ。これを私に渡してどうすんのって聞いてんの!!」

「お前・・・馬鹿か」

「バッ・・・!!?」

「俺はこれから部活がある。日誌の中身はもう全部書いておいた。
 お前はもう帰るんだろ?だったらついでに職員室に行ってコレ出してこい」

「はぁ!?納得いかないよ!!黒板消しとか
 消灯とかの仕事は私がやる代わりに日誌は俺が書くって言ったのアンタじゃない!!」

「じゃあな。あっ、帰り道変な男を襲ったりするなよ?」

「えっ!私が襲う側なの!?そこは「変な男に襲われるなよ」って言う
 場面じゃないの!?って・・・ちょっと待てぇえー!!










ガラガラッ・・・ピシャン!!










こうして私は結局アイツの言いなりに・・・日誌を職員室に届ける羽目になるのだった。
ドスドスッと怒りを足に込めながら は廊下をズンズン進んで行く。










嫌い嫌い嫌い!!私はアイツが大っ嫌いだ!!

同じクラスの・・・隣の席。名前は日吉 若。

意地悪で・・・性格悪くて・・・口も悪いし、目付きも悪い!!あっ、あと趣味も悪い!!
今日みたいに仕事を押し付けてくることなんてしょっちゅうだし・・・
勉強や運動が私より出来る事も気に食わない!!馬鹿にしてくるし・・・。










「ハァ・・・」










なんだかなぁ・・・嫌われてるのかな私は?
だって日吉が他の子に意地悪してる所なんか見たことないし・・・。










「ムカつく・・・!!」










ジワッ・・・。っと眼に溜まる涙は、悲しさからか・・・悔しさからか・・・。
とりあえず怒りが収まらない は職員室の扉を勢いよく開けたのだった。































「今日の練習はここまで!!」

「「「ありがとうございましたー!!」」」










1日の練習が終わったテニス部。流れる汗をタオルで拭いながら日吉は何気なく教室の方へ目を向けた。










「えっ・・・?」

「日吉ー。今日の帰りさ!先輩達と・・・」

「いや、悪いが今日はパスだ」

「えっ?ちょっ・・・日吉!?」










着替えもしないまま自分の鞄だけ掴み上げると、日吉は走ってその場を去っていった。
そして向かったのは・・・なぜが電気が点いたままの教室。










ガラッ!!










「ハァ・・・ハァ・・・!!」

「ひ、日吉・・・?」










扉を開けると予想していた人物が自分の席に大量の紙を広げて、何やら作業をしていた。










「なに!どうしたの!?忘れ物!?」

「何してる・・・こんな時間まで」










日吉が聞いた途端・・・ はムッと唇を尖らせた。










「日吉が私に押し付けた日誌を届けたら・・・先生に資料のファイリングを頼まれたの!!最悪だよ!!」

「そのファイリングってのは終わったのか?」

「・・・まだ」










日吉は黙って の隣に座ると、残りの資料をまとめ始めた。










「日吉・・・?」










黙々と作業をする日吉。
1人では苦戦していた膨大な量の資料はどんどん片付き・・・
数十分後にはすべての資料がファイルに綴じ込められた。










「これで最後か?」

「うん・・・。日吉、なんで?」

「何がだ?」

「なん、で・・・戻ってきたの?」

「フンッ・・・」










日吉は机に頬杖をつくとニヤッと笑みを浮かべた。










「お前がいる気がしたから・・・」

「えっ?」

「他に理由はない」










日吉は立ち上がると鞄から制服のシャツやネクタイを取り出し
何をするのだろう。と見ているといきなりユニフォームを脱ぎだした。










「はっ?なぁあー!?ちょっ!なに急に脱いでんの!!?」

「着替えなきゃ帰れないだろ。見たくないならむこう向いてろよ」










日吉に言われた通り、体ごと反対に向き直ると は熱くなる顔を一生懸命隠そうとした。










「わ、わかんない!!」

「なにが?」

「日吉・・・が」










日吉に背を向けたまま、 は会話を始めた。
背を向けているので日吉の表情を読むことは出来ない。










「俺の何がわからないって?」

「仕事・・・押し付けてきたかと思えば手伝ってくれて。
 馬鹿にしてきたかと思えば・・・優しくしてくれて。訳わかんない・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

「何で嫌いな奴を助けるようなことするのかも・・・」

「誰が、誰を、嫌いだって?」

「えっ?」










フワッ・・・。










次の瞬間、着替えを終えた日吉は後ろから を優しく抱きしめた。










「えっ・・・えっ!?なっ!!」

「おとなしくしろ。何もしない」

「何もって・・・!!」

「お前は何か勘違いをしているようだな」

「へっ?」










「好きだ。俺は・・・お前が好きだ」










「えっ・・・?」

「仕事を押し付けるのも、馬鹿にするのも・・・お前と話す口実が欲しかっただけだ」

「嘘・・・。だって!好きな人の嫌がることして何が楽しいの!?」

「それは俺の性質だ。好きな奴の戸惑う顔ほど見てて満たされるものはない」

「うわっ!最悪!意地悪!!」

「今更だろ。それに・・・いいのか?」










ギュッ。と日吉は を抱きしめる腕の力を強め、首に顔を埋めた。










「今、どっちが優位な立場にいると思う?」

「あっ・・・」










は顔を真っ赤にしながら体を硬直させた。
それを見た日吉はニヤッと笑みを浮かべながら「可愛いな」と呟いた。










「で。返事は?」

「えっ!あ、いや・・・えっと・・・」













私の好きなタイプは優しい人。

それでもって私のこと大切にしてくれて・・・ちょっと大胆な人がいいな!なんてね。





つまり早い話が・・・。















「日吉が・・・好き」















(まぁ、お前が俺のこと好きって事は知ってたけどな)

(はっ!?何で!だって私まだ誰にも!!・・・あっ)

(ニヤッ)

(っ!!日吉なんか大っ嫌い!!)















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ごめん。日吉。

ち、違うんだ。こんなに鬼畜でドSで

性格悪くしようとしたつもりは・・・・・

ゴメン。満足してる☆(いい笑顔)


「学園祭の王子様」日吉ルートを見ていたら

勢いで書いてしまったよ(反省はしていない)








2009.2.21