歓喜の仮面は、孤独を避けるため・・・。
怒りの仮面は、弱い心を守るため・・・。
涙の仮面は、優しさを見せるため・・・。
笑顔の仮面・・・。
俺はなぜか・・・泣いていた。
仮面
声を殺して、耳を塞いで、目を閉じた。
もちろん実際にやるわけじゃなくて・・・意識の中でそういった行動をする時がある。
人に合わせて、心を閉ざしてさえいれば・・・。
傷ついて心が壊されるなんてことないし、相手に嫌われもしない・・・。
俺はそうやって今まで生きてきた。
「あ、鳳くん!今から部活?」
でもそんな時、優しく貴方が胸の扉を叩いた。
「
先輩?うわっ!な、なんですかその紙の山!?」
「えっ、これ?過去の試合結果!跡部が必要だから探してこいって」
「多過ぎですよ!俺、手伝いますから!!」
「えっ?いいよー。あっ・・・」
「こんなに重い物、
先輩1人に持たせるなんて出来ません」
先輩の手から半分以上の資料を取り上げると、
先輩はニッコリと笑った。
「ありがとう。鳳くんは優しいね」
「いえ、そんなことありませんよ」
ズキッ・・・。
ほら、また。
これが俺のつけている仮面。誰にでもこうして優しくして・・・親切にして・・・自分の居場所を守る。
こんな方法でしか自分を守れないなんて・・・本当に情けない。
「鳳くん。何かあったの?」
「えっ?」
並んで廊下を歩いていると
先輩が急にそんなことを言い出した。
表情は相変わらず穏やかだ。
「鳳くんは、たまにするよね・・・そういう顔」
「そういう・・・顔?」
「苦しそうな・・・寂しそうな・・・そんな顔」
えっ・・・。
心臓を掴まれたような気分だった。
ヒヤッ!と体温が下がったような・・・そんな感じ。
「何か悩みでもあるの?」
「あ、あの・・・あっ・・・」
うまく言葉が出てこない。
こんなこと言われたのは、初めてだったから・・・。
「俺・・・格好悪いですね」
「えっ?」
「人に嫌われたくなくて・・・1人になるのが怖くて・・・優しくしたり、わざと笑ったり、強がったりするんです・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「本当の自分を隠してるようで嫌なんです。でも・・・自分をよく見せて、守りたくて・・・。
そのために嘘ついて、ごまかしたりして。傷つきたくないって・・・仮面つけてるみたいで・・・」
正直、自分でも何を言ってるかわからなかった。
頭の中がぐちゃぐちゃで・・・。
でも・・・それでも・・・止められなかった。
先輩はそんな俺の話を聞きながらゆっくり目を閉じて、静かに頷いてくれた。
「大丈夫。誰もみんな強くなんかない。鳳くんだけじゃない」
「えっ・・・」
思わず立ち止まると
先輩は少し先で足を止めた。
「人は愛され愛すように出来てる。1人じゃ何も出来ない。それは弱さじゃなくて生きている意味・・・私はそう思う」
先輩が何を言いたいのかよく分からなかった・・・。
だけど、
先輩の言葉は確かに俺の心の・・・奥の奥に響いた気がした。
仮面の下の本当の顔・・・。
仮面の下の俺の顔は・・・どんな顔をしてるんだっけ?
「仮面かぁ・・・。そんな物つけてたら息も出来ないし、重たくて動けないでしょ」
「は、い・・・」
「じゃあ、鳳くんが苦しくなった時は、私が仮面を外してあげる」
「えっ?」
「これでどう?」
クスッ。と悪戯に笑う
先輩を見て一瞬ドキッ!としたのはきっと気のせいだ。
でも・・・。
「鳳くんは心配し過ぎだよ。何気ない言葉で笑って、人を傷つけ傷ついて何が悪いの?
間違いは過ちじゃない。痛みや喜び、それが生きてる意味じゃない?」
この人なら・・・。
「そんな仮面、外してさ。そのままの鳳くんを私に見せてよ」
この人なら・・・受け止めてくれるかもしれない。
初めて・・・そう思った。
(あ。鳳くん今笑った!!なになに?)
(
先輩も・・・よく分からない人ですよね)
(えっ、ありがとう!!)
(いや、褒めてませんよ・・・)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
Janne Da Arc さんの
「仮面」でした。
歌は、とてもいい歌でカッコイイんですけど
正直、これをドリームにするのは難しかったです。
書き上がった今も「えぇ〜?こうかぁ〜?」みたいな。
おまけに・・・なぜ長太郎で書いた?俺。(聞くな)
2009.3.8