呼び名っつーんは関係を表しとる。



例えば男女が苗字で呼び合う。
これは知り合い以上、友達未満やな。

次にあだ名。
これは友達か・・・恋人同士ではないやろ。

そして名前呼び。
幼馴染みか恋人じゃなきゃ無いと思うわな。



そんで問題は俺と委員長の関係や。

お互いの呼び名は・・・。










「おいっ。変態メガネ

「なんや猫被り委員長










これな・・・。








あだ








「先生にこの書類の確認を頼まれた。今日中に頼む」

「いや頼むって・・・これ委員長の仕事ちゃうん!?」

「昔、私の尊敬する人が言いました。お前の仕事はお前の物。俺の仕事はお前の物

いらんわ!誰やその尊敬する奴て!?」

「名言だよな」

「今の委員長に限りな」










この可愛い顔して男言葉の委員長。

成績そこそこ。運動ぼちぼち。

この2つにして見れば俺の方が上なんやけど・・・。

弓道部主将。同級生からの信頼絶大。

そんなんが重なって委員長に大抜擢。

そんで俺は似たような理由で副委員長に・・・。





まぁ、それは別にどうでもええんやけど。
問題はこの委員長が・・・。










「大体あのハゲ!何で今日中の書類を今日渡すんだっつーの!!
 おかしいだろ!?そう思わねぇ!?そんなんだったら1週間前くらいから渡しとけって!!」

「落ち着ぃ。騒いだって仕方ないやろ」

「育毛剤と偽って脱毛剤を贈ってやろうか・・・」

「やめとき。残り少ない髪まで奪ったら可哀想やろ」










これが俺の呼び名の由来。
教師や友人の前では優等生。そんで本性はコレ。

せやから「猫被り委員長」

しばらく文句を言い続けとった委員長も諦めたのか俺と向かい合うように机を並べて仕事に取り掛かった。










「ねぇ。変態メガネ」

「変態はやめぇ」

「じゃあオタク」

「殴るで?」



「なんで伊達メガネかけてんの?」










無視かい!!って・・・ちょい待ち。










「何で俺が伊達って知っとるん?」

「えっ!あっ、いや・・・そんな事いいからさ。とってみてよ」

「はぁ?」










顔をあげると委員長が興味津々な目を俺に向けてとって、別にそんな嫌がる理由も無いし。
俺はメガネを外すと頬杖をついて視線を交えた。










「別に何も変わらへんよ?」

「いや・・・変わる」

「そか?」

「うん。綺麗だな」










綺麗・・・?



俺がポカンッとしとると委員長は自分で言った言葉に自分で驚いたのか
バッ!と俺から離れて書類で顔を隠した。










「今・・・なんて?」

「い、言ってない!何も言ってない!!」

「言ったやろ。綺麗って?」

「だから言ってないってば!!」










書類を壁にして顔を見せへんようにする委員長。
俺がその書類を奪うと「あぁ!!」とか言いながら手を伸ばして体を前に倒してきた。
そうなると必然的に近くなる委員長の顔・・・。










「なんで真っ赤なん?」

「うわっ!!?」










今度は大きく後ろに戻る委員長。

おぉ。ナイスリアクションやな。
これ、もしかしてツッコミ待ちなんかな?










「大丈夫か?委員長」

「こ、来ないで!!」










来ないでって・・・

そんな真っ赤な顔して言われると何や、からかいとうてウズウズなるんが俺や。
手を伸ばして委員長の頬に触れる。










「なぁ!?」










途端に見開かれる瞳。さらに紅潮する頬。手を伝わってくる体温。

えっ・・・ちょっ、待って?
なんや、委員長・・・。










「可愛えな・・・」

「はっ!?」

「そんな顔も出来るんか。初めて見たわ」

「か、かわ・・・い・・・?」

「委員長?」










カチコチに固まってもうた委員長。下手したら頭の上から湯気が出るんちゃうか。
っと心配になるくらい赤くなりながらパァン!っと俺の手を払ってまた距離をとった。










「やめてよ!嘘言わないで!」

「ど、どないしたん?」

「な、なんで急に可愛いとか言うの!からかってるの?忍足にそんなこと言われると調子狂うの!!」

「えっ?今・・・」

「可愛いなんて本当は思ってないくせに!忍足の前では私・・・」

「委員長、今!」










俺の言葉に委員長は「?」という顔をしながらやっと俺と目を合わせてくれた。










「名前、呼んでくれたな・・・忍足て」

「あっ・・・」

「嬉しぃ。なんや嬉しぃわ!」










委員長・・・ に近付くとその体を抱き締めて耳元で小さく呟いた。










「なぁ。よかったら名前で呼んでくれへん?侑士て」

「・・・ゆ、ゆーし・・・?」

「好きや。










男女がお互いを名前呼びする関係・・・幼馴染み?





いや・・・恋人。















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ななな、なんかよく分からん話ですみません!!

忍足は俺の中でキャラクターが2つに分かれてます。

「変態」「オタク」

・・・間違えました。

「策士」「おちゃらけ」

どっちも好きですが今回は「おちゃらけ」の方で(笑)







2008.7.12