「おーい。菊ー?」
「にゃ?
だ!」
「どうしたの
さん。
さんから男子コートに来るなんて珍しい」
「ちょっと菊に用があってね」
「にゃ。俺?」
「大石。こいつちょっと借りていいかしら?」
「えっ?あぁ・・・用事なら仕方ないか」
「ダメだ」
振り向くと逆光が眩しい乾がドドンッと立っていた。
背が高いせいか無駄に迫力がある。
「2人には今回、新しいフォーメーションを試してもらうんだ。邪魔はさせないよ」
「あら・・・そぅ。残念だわ」
しかし、その威圧感を鼻で笑うかのように
はニヤッと口角をあげた。
「せっかく・・・こんなものを手に入れてきたっていうのに」
は制服の内ポケットに指を入れると1枚の写真を取り出した。
その場にいた全員は写真を見ると、疑問符を浮かべながら首を傾げた。
「あぁ!?」
しかし菊丸だけは、その写真・・・
公園のベンチにチョコンとお座りをしる白猫を見て、全身に電撃が走ったかのような反応を見せた。
「そ・・・その子は!!」
「菊が日頃から通っている公園のマドンナ!パールホワイトの毛並みが美しい
白猫ミミちゃんのブロマイド&生写真〜♪ほらほら。こんなにあるわよん?」
は続けて写真を5〜6枚ビラッと一気に出してきた。
「あぁー!!」
もう完璧に食いついてきた菊丸。
後ろで海堂が敏感に反応しているのはあえて無視しよう。
「あんな写真から、こんな写真まで・・・さぁさぁ安いわよ?
今なら一緒にくるだけでこの写真を全部プレゼントしちゃう。どうする?」
「行く!!」
「待て菊丸!!」
が小さく「来たわね・・・」と漏らすと、ゆっくり菊丸の背後に目を向けた。
「手塚!!」
「練習中だ。戻れ」
「で、でもぉ・・・」
「菊。大丈夫よ、下がってなさい」
菊丸が「うん」と頷いたのを合図に、手塚と
を残して全員がザッ!!と後ろに下がった。
腕を組みながら睨み合う両者。どこからか乾いた風が吹き、よく分からない丸い草が転がっていった。
「何しにきた」
「あら。用がなかったら手塚に会いにきちゃいけないの?」
「そんなことを聞いているんじゃない」
「固いわねぇ。もう」
ハァッと溜め息をつくと手塚に1歩近付き、腕を絡めると身長差から少し手塚を見上げた。
「菊に用があるの。貸してくれない?」
「さっきも言っただろ。練習中だ」
「そんなこと言ってられるのも今のうちよ?」
はスッとポケットの中に手を忍ばせるとチラッと1枚の写真を手塚に向けた。
その瞬間、手塚の目は見開かれ額には汗が噴き出した。
「お前・・・なぜそれを」
「取引よ。手塚」
残りのメンバーは
の後ろに構えていたので写真に一体何が写っているのか分からなかった。
「菊を渡せば写真は返す。菊を渡さないのなら写真をバラまく」
「菊丸は渡そう。好きに使ってくれ」
「「えぇえぇぇー!!?(汗)」」
「さすが理解が早いわ。手塚部長♪」
はニッコリ笑うと手塚に写真を渡し、菊を引きずり去って行った・・・。
その後、写真の中身と菊丸の使い道は
と手塚以外、誰も知らない・・・。
2009.2.7