「・・・なんだ?」
「ん?」
「さっきから何なんだ。っと聞いているんだ・・・」
ここは生徒会室。
手塚は大量の資料に目を通している途中で、眉間に皺を寄せながら
に問いかけた。
「あら。私、手塚に何かした?」
「さっきから無意味にこちらを見つめているだろう」
「・・・バレてた?」
ニコッと爽やかな笑顔を向けたかと思うと、次の瞬間ビシィ!っと手塚の眉間に勢いよくデコピンをくらわせた。
突然のことで手塚は避けきれず、ジンジンと痛む眉間を片手で押さえた。
「・・・この行動に意味は?」
「特にないわね。ただ腹が立っただけよ」
なぜ
が腹を立てるのか理解できず、手塚はさらに眉間に皺を寄せた。
「だからそれよ!それ!」
ビシコーン!!
こんなに無抵抗な手塚はたぶんテニス部員でも見たことがないだろう。
そんなことをしたらグラウンド30周が待っているからだ。
しかし、今手塚に喧嘩を売っているのは天下の
だ。
手塚は黙って痛む眉間を撫でた。
「もう1度聞く。さっきから何なんだ(怒)」
「どーして手塚は、そうやっていつも難しそうな顔をするの!」
言ってる意味が分からなかった。
今度は
が自分の眉間に皺を寄せて、そこを指差した。
「こうやっていつも固い顔ばかり。たまには笑ってるの?」
「余計なお世話だ・・・」
「あーそーですか。そんなに難しい顔ばかりしてたら、いつか顔が戻らなくなっちゃいますよー?」
手塚は束になっていた資料をファイルに挟みながら話し続けた。
「手塚には無いの?不思議と和む瞬間ってやつ」
「・・・家の鯉にエサをあげてる時」
「渋っ!!」
渋い!渋すぎる!!渋柿を改良した乾汁よりも渋すぎる!!
本当に中学生かこいつは。
「・・・あの乾汁って確か多数の部員を味覚麻痺にしたのよね」
「あぁ・・・」
「そうだ。ほかの奴らにも和みの瞬間ってやつを聞いてみよう」
■
「俺っスかー?やっぱ何か食ってる時に幸せ感じたりするかなー」
桃・・・・・食。(やはりな)
「和みの瞬間?そうだなぁ・・・晴れた日に空を見たりすると、すごく気持ちがいいよ」
大石・・・・・光合成。(ちょっと違う)
「俺はねー。ペットショップに行くと和むかにゃー♪」
菊・・・・・仲間がいるところ。(それも違う)
「俺は、えっと・・・皆とテニスしてるときかな。ハハッ」
河村・・・・・本当に和んでるのかバーニング。(意味不明)
「和む瞬間・・・?・・・・・・・・・・フシュー・・・・・」
「へぇー。公園の猫と戯れることねー」
「よく翻訳できたな
。いいデータがとれた・・・フフッ」
海堂・・・・・動物との戯れ。(1番まともだが似合わん)
乾・・・・・人間観察。(予想)
「僕?僕は・・・」
「
先輩。俺はね・・・」
「「
(先輩)と一緒にいられる時かな(っスよ)」」
・・・・・・・・・・・・・・・。
「越前・・・身のほどを知れって言葉知ってるかい?」
「不二先輩にピッタリじゃないっスか」
「フフッ・・・面白いことを言うね?(笑顔)」
リョーマ&不二・・・・・身の安全確保のため途中放棄。(付き合ってられん)
「以上がテニス部員の和みの瞬間です。手塚会長」
「
・・・」
「あ、このファイルに挟んでおきますね」
「無駄な資料を増やすな」
「うーん・・・。参考になると思ったんだけどなぁ」
渋々といった様子で生徒会室を出ていこうとする
の背中に、手塚は静かに声をかけた。
「
の和む瞬間っというのは・・・何だ?」
は足を止めて振り返った。
「私?うーん・・・今こうして手塚と話してる時、かな」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「ハッ、眉間のシワ消えてるわよ!!」
ビシコーン!!
結局どうすればいいんだ!!っと手塚が激怒したのは・・・言うまでもない。
2008.3.15