「越前・・・見に行きたくないか?」
「なにをっスか?」











の試合」











反対1名(手塚)賛成8名(他レギュラー)という結果により
急きょ女子テニス部のトーナメント戦の決勝戦を見に行くことが決定した。











!いよいよ決勝だね!!」
「問題ないわ。私が勝つ」





「「「キャーw」」」









フェンスの外で黄色い声を送る生徒達を横目に、マネージャーは思わず溜息をついた。






「相変わらずすごいわねぇ・・・・・ ファン」


「まぁね」










声援を送る生徒達にニコッとほほ笑みかけると、途端に ファンと呼ばれる集団は
ホゥ・・・と赤くなる頬を押さえながら吐息をはいた。








「あんたも罪な女ねぇ・・・女子まで魅了しちゃうんだから」
「ふふん♪どっかのほほ笑み魔王様には負けるわ」















「クスッ・・・それって誰のことかな?








ヒュー・・・っと周りの温度が急激に下がったことを肌で感じ
はゆっくり後ろを振り返った。










「なんでここに?って言うかその人数は何?」
先輩の応援に来たんスよ――!!」
「なに嫌そうな顔してるんスか?」
「ご、ごめんね さん!こんなに大勢で押しかけて!!」






いつの間に来たのやら・・・図々しくも試合が1番よく見える場所を確保したレギュラー陣が
こちらに向かって手を振っていた。







・・・すまない」
「手塚が謝ることじゃないでしょ」
「いや、しかし・・・」
「来たものはしょうがないし。あいつらはもぅ何言っても動かないでしょ?」



2人が目も合わせないで会話をすると、試合のコールが響き はコートへ入った。









「乾。 の試合相手は?」
「女テニの副部長だ。ちなみに今までの の試合結果はすべて6−1らしい」
「すべて?全部6−1!!?」
「なんなんスか6−1って・・・?かならず1ゲームはとられてるって事っスか」
「(って言うか・・・乾はそんなこと、いつ調べたんだろう・・・?)」



大石と河村は静かにツッコミを入れた。







「「とられる」んじゃなくて「とらせてる」んだよ」
「それが のテニスだからな」





越前と桃城と海堂はその意味がわかるはずもなく、審判のコールによって試合に視線を向けた。















・・・バシッ!!             ヒュッ!!









バシィ!!!










「0−1!!!」









「1ゲームとられましたね・・・」
「長いラリーばっかで攻撃もしないし・・・とてもじゃないけど
 手塚部長に並ぶほど強くは見えねぇよなぁ?」


「ま、最初は誰でもそう思うさ」
「本番はこれからだからね」








次は のサーブ・・・高々と上げたボールに全員が集中する。















ビシィ!!!








「・・・・・ノータッチエース・・・・・」
「早ぇ・・・・・」









バシッ!!







次のサーブは相手もなんとか返す。




スッ。



トントントンッ・・・・・。










しかしそれはネット際ですでに待機していた によってガラ空きスペースに
綺麗に決められてしまった。








「なんスかあれ・・・?」
「いつ移動したんだよ・・・」






「1−1!!!」




「えっ!もう1ゲーム終わったの!!?」
「さっきのゲームとは比べ物にならないほど早かったにゃー」
「当たり前だ。 が本気を出してからの1ゲーム・・・1分半で終了している」
「1分半!本当に!!?」



「クスッ・・・面白くなってきたね」










それから は相手がどんなボールを返してこようが、その前に待機して
かならず相手がいないガラ空きのところにボールを打ち込んでいった。












「ゲームセット!ウォンバイ 6−1!!」






「えっ!もう終わり!?」
「あぁ・・・さすが 。蓋を開けてみれば13分台でケリをつけたか」
「13分台!!?」
「13って・・・マジっスか・・・」





3人は呆然と に目を向ける。
当の は相手と握手を交わすとマネージャーから一緒にタオルを受け取り再びファンへ笑顔を向けた。









「あれだけ強いのに・・・なんで最初っから本気出さなかったんスか?
 最初っから本気出せばもっと早く・・・」
「あれが彼女のテニスなんだよ」
「・・・どういう事っスか」
「乾のデータテニスと似てるんだけどね。
 最初の1ゲームは相手と長いラリーをして最終的には相手に取らせるんだ」
「その間に さんは・・・相手の弱点を見出しているんだ」




「弱点?」





「そう。相手が見せる小さな穴・・・癖・・・技・・・それらをたった
 1ゲームのうちにすべて見つけ出すんだよ」
「そして2ゲームからはその弱点を突いて、狙って、最短時間で勝敗を決める」
「それが ちゃんのテニス!!」




菊丸が嬉しそうに言うと、不二が越前に向かってほほ笑みかけた。







「だから越前・・・ に勝つのは難しいよ?」
「上等・・・!!」







見せるにはいつもの自信たっぷりな生意気な笑み、不二はそれを見て手塚の隣に移動した。












「面白くなりそうだね?手塚」














● おまけ ●






ちゃんの試合かっこよかったにゃー!!」
「でもエージ先輩・・・ある意味 先輩って趣味悪いっスよね?」
「へっ?」
「だって相手に互角のフリして、点をとらせておいて・・・・・
 次のゲームからは相手の弱点を突いて、攻めて、潰しまくりっスよ?趣味悪いって!」
「あははは!たしかにぃー!!!」








「誰が趣味悪いって・・・?」















「「えっ・・・」」
















「「ギャア―――――――ッッ!!!!!」」


















2006.4.11