ゾクッ・・・!! と寒気を感じた私は直ぐさま後ろを振り返った。
しかし・・・そこには別に誰もいなかった。
Act.21 × 刺客 ×
「どうした?
」
「えっ!あ、いや・・・なんでも」
ないよ。と言いながら笑顔を作った。
拓は特に何の気配も感じていない・・・。やっぱり気のせいか?
3階に上がるための階段を探しているうちに私の不安は次第に消えていった。
やっぱり何もいない。
さっき拓から「人形」の話を聞いたばかりだから不安になっていただけだろうか?
とりあえず拓と共に階段を探すことに専念する。
「へぇ・・・。あれが噂の「悪魔」かぁ」
しかし・・・小さな人影は確かにあった・・・。
何メートルにもなるディスプレイの上に潜んでいた人物は、不気味に笑うと白い歯を覗かせた。
「隣の女も呪い付き・・・かぁ」
「ねぇ、拓・・・。階段を探すよりエレベーターの方が早いんじゃない?」
「エレベーターは身近な密室だぞ。
乗ったら隠れてる人形達も付いてくるかもしれねぇだろ。同乗したい?」
「いや、遠慮します」
店内はとりあえず広かった。
おまけに宝石を展示してあるディスプレイがまるで迷路のように並べられていて歩きにくい。
拓が言うには、これもまた防犯のような役目を果たすらしい。
「た、拓。ちょっと待ってよ」
「あ?お前・・・遅ぇよ」
「だって歩きにくい・・・。拓こそなんでそんなスイスイ進めるの!」
「道順なんか見りゃ分かんだろ。ホラッ、はぐれ・・・ オイッ!
!!」
「えっ?」
シュンッ・・・!!
風を切るような軽い音が聞こえたかと思うと、私は誰かの腕によって身動きが出来ない状態になった。
「つーかまーえた♪」
「なっ!?」
後ろから聞こえる声・・・。
その主はピッタリと私の背中にくっついて、ニタァ・・・と不気味な笑みを浮かべた。
たった腕1本で私の両腕は背中でガッチリ固められ、身動きがまったく出来ない。
必死に抵抗するも相手は動じずに、拓に向かってもう一方の腕を伸ばした。
「あ。動かないでねー?動いたら・・・この女の子黒焦げになっちゃうよ?」
ボッ!!
それを見た私達は目を見開いた。
指先から炎が燃え上がってる!!?
まさか・・・こいつも悪魔!?
「さぁさぁさぁさぁ!どうするー?俺を殺せば女の子は死ぬよ」
「テメェ・・・」
睨み合いが続く中、最初に動いたのは・・・拓だった。
ゾリッ・・・!!
背中の後ろで指同士を擦り合わせて 真っ黒な液体 を浮き出させる。
「
。少し・・・我慢しろよ」
ザワァッ・・・!!
拓の足元から一気に 黒い世界 が広がり出す。
それはまるで生きているように波打ち、すごいスピードで私達まで届いた。
「わぉっ・・・!!」
ダァンッ!!
しかし、触れる直前に片足で床を蹴り上げ、高く高く跳び上がりそれをかわした。
「えぇ!?」
「チッ!!」
ダダンッ!!
たった1回の跳躍でロビーの中心から壁際まで距離を取った。
ニタァ・・・。と不気味な笑みが私に向けられる。
「あれが悪魔の力かぁ・・・。こえー!!」
その時、初めて正体をしっかり見る事が出来た。
幼い顔立ちの・・・肌が真っ白な少年だった。
「もうちょっと悪魔と遊びたいけど・・・。いいや。呪われた女の方が興味あるし」
「えっ?」
「じゃあまたね。悪魔」
ガコンッ!!
少年が壁に背中を預ける。
すると扉のように壁が動き・・・もう1つの道が現れた。
「
!!」
「たっ、拓!!」
少年の力は人間のレベルじゃない。
私は引きずられるように、壁の中へ連れ込まれた。
ゴゴゴゴゴッ・・・!!
重い音を響かせながら壁は次第に閉じていく。
「
!!待ってろ!!」
私が最後に見たのは、悪魔から「人間」の表情になった・・・拓だった。
ガコンッ・・・!!
× ―――――――――― ×
敵・登場!!
こいつをメインに拓と戦わせようと思います。
・・・あら。言っちゃった。
とにかく!早く助けに行け!拓!!(命令形!?)
2009.6.6