そのヒト達は・・・


冷たくて・・・


何だか怖くて・・・


まるで、人形・・・。











Act.20     × mission・3 ×










「な、なに・・・?この人達」
「この店のニンギョウ達だな」
「人形・・・?」
「あぁ、さがってろ」











拓が右手の親指と人差し指を擦り合わせた瞬間、人形と言われた人達は全員で拓に飛び掛かった。










ゾリッ・・・!!










拓が擦り合わせた指先からは 真っ黒な液体 が浮き出てきて
拓はそれで自分の左腕に何やら模様を描き出した。











「闇夜の首謀者・・・抹刻印!!










左腕に描かれた模様は、まるで生きているかのように蠢き・・・首から顔の半分までを浸蝕した。










「拓・・・!!」










これが・・・悪魔の姿










バンッ!!











拓が直ぐさまその手を床に付けると、床一面に腕と同じ模様が円形に広がった。










「闇に飲まれて・・・消えろ」










ザワァ・・・!!










床に描かれた模様から真っ黒な波が現れると、拓に襲い掛かかっていた
「ニンギョウ」をすべて飲み込み・・・床に開いた闇へと続く穴の中へ引きずり込んでいった。











ゴポッ・・・。ゴプッ。










もがき苦しみながら抵抗するニンギョウを笑うように、ズリズリズリッと・・・
まるで 地獄 へ連れて行くかのようにゆっくりと闇の中へ沈み込んでいった。











トプンッ・・・。










最後の雫が跳ねると、床に広がった模様は消えて拓の左腕にあった模様も綺麗に消えた。















「なに・・・?今の」
「あいつらは「人間」であり「人間」じゃない・・・ 「作られた人間」 だ」
「作られた人間?」
「表の世界と裏の世界は対になってる。しかし言い方を変えれば背中合わせの世界とも言える」
「表の世界にピッタリと裏の世界がくっついてる・・・ってこと?」


「正解。光があるから影が生まれる・・・影があるから光は目立つ。
 光と影っつーのはお互いがいないと生きていけねぇシステムだ」


「じゃあ・・・今の人達は」
「人間ではある。もう生きちゃいないがな」
「・・・どういう意味?」






「あいつらは1度死んでるんだ」










ドクッ・・・!!










私の心臓はその言葉に敏感に反応した。










「1度・・・死んだ?」



「あぁ。表の世界で生きてた人間、もしくは不運にも事故か自殺かで死んだ人間を・・・
 裏の人間が手にかけ、回収する。そして・・・ロボット同然のように作り直した」











耳を塞いでしまいたかった。拓の話を信じたくはなかった。










元は表の世界で生きていた人間・・・?

裏の人間が死体をロボット同然に作り替えた・・・?


じゃあ、今現れたあの人達は何・・・?


本物の・・・ニンギョウ?











「俺も話には聞いてたけど、本物を見たのは初めてだ。
 そんな技術者がうちの会社にもいるって噂があったけど・・・」
















――― 僕の人形になってよ。















ゾクッ!!










あの時の社長の言葉・・・。

あれはこういう意味だったの・・・?


もしあの時拓がいなかったら・・・あるいは!?










頭を抱えながら は冷静になれと自分に言い聞かせた。





















フワッ・・・!!










何か温かいものに包まれハッ!とすると、拓が私の背中に両腕を回してギュッと抱きしめていた。











「怖ぇんだろ」
「えっ・・・?」
「自分が今置かれてる状況が・・・。俺が普通に話してることの異常さが・・・」
「拓・・・」
「それでいい」











拓は片手を私の頬に滑らせると、耳にそっと口を寄せた。















「お前は・・・そのままでいろ」















拓の言葉は不思議と・・・私の耳にスゥッと馴染み、心は安心感で満たされた。





いつから私、こうなったんだろう・・・?




















ザッ・・・ザザッ・・・。










『拓。拓?何かあったん?』
「零時。やっぱりいたぜ、ニンギョウ」
『はーん?この宝石店・・・確実に裏と関係があるっちゅーわけやな』
「あぁ。まぁ鍵は無かったとしても・・・いい情報くらいは持ってんだろ」
『あ。そのことなんやけどな!拓!!おもろいもん見つけといたで!!』
「あっ?」
『3階のカウンターにおるから迎えに来て!待ってんでー♪』
「あっ、オイッ!?」











ブツッ!!











かなり一方的に切れた連絡に、拓は拳を握りながら怒りを顔全面に表していた。










「あいつ・・・潰す」


「まぁまぁまぁまぁ」











そして私達は3階に向かうために階段を探した。










その時はまったく気付かなかった・・・。




私達を見つめながら笑う人影がいただなんて・・・。















× ―――――――――― ×

あーぁああぁぁ!?(なに?)

俺は一体、何が書きたかったのか(オイッ)


一応、今回の絡みは今後に関わってくるように
書いていきたいと思っています。

なので、ちょっと覚えていてください(笑)









2009.5.2