気持ちいい・・・。


誰かに髪を撫でられる感覚に


私はそっと瞼を開けた・・・。










Act.5     × 裏組織の目的 ×










「あ、起きた?」








透き通るような声を頭の片隅で聞きながら私は黒い天井を見つめた。
どうやら私は誰かのベッドに横になっているようだ。








「ここは・・・?」
「拓の部屋よ。気分はどう?」







ゆっくり上半身を起こすと声の主が私の体をそっと支えてくれた。








見渡すと部屋は床・壁・天井とすべて黒で統一されていて、置いてある家具も
全部モノクロで揃えられていた。









「無理しちゃダメよ!まだ熱は下がってないんだから!!」
「あの・・・あなたは?」









尋ねると、透き通るような白い肌に金色の髪持った女性は
蒼い瞳を細めながらニコッとほほ笑んだ。










「ごめんなさい。私は神姫 麗(しんき れい)・・・ここの会社の社員よ」
「会社・・・」










そのとき、私は今自分がいる場所がどんなところかを思い出した。



会社・・・そうだ、ここは。










「ねぇ。 ちゃんって呼んでもいい?」
「えっ、あ・・・はい」
「私のことは麗でいいわよ。歳いくつ?」
「16です」
「じゃあ私と4歳違うのね。私20歳なの」










麗さんは嬉しそうに笑うと私がいるベッドに腰を下ろした。
そして、白い手でそっと私の髪に触れた・・・。










「こんな可愛い子まで引き込むなんて・・・何を考えているのかしらね。
 うちの会社の社長は・・・」



「えっ?」
「なんでもないわ。こっちの話」










ベッドからスッと立ち上がると扉に背を向けながら麗さんは声を上げた。












「いい加減入ってきたら?いるんでしょう?」













ガチャ。












「なんや、やっぱバレとったんか!」
「当たり前でしょ。盗み聞きなんて趣味悪いわよー?」
「うるせぇよ」










部屋に入ってきたのは拓と零時。
零時はすぐさまベッドに乗り込んできたが、拓はどこか不機嫌そうだった。










!熱下がったんか?」
「ちょっと零時!ダメよまだ具合悪いんだから!!」
「そうなん?」










顔を覗き込んでくる零時。
は再び懐っこい犬を連想した。










「いいえ。もう大丈夫です」











は思わず笑みを浮かべた。











「なら安心したわ!あと敬語なしでええで?
 あ、気にせんといて!俺ら18やけど拓にも敬語なしで構へんで!」










零時が二ィッと笑みを向けると、後ろにいた拓が零時の襟首をつかんだ。










「どけ。零時」
「ぐえっ!なんやねん拓!?」










を見下ろす拓。
いきなり腕をつかむと軽く引いてベッドから立ち上がらせた。










「話がある。一緒に来い」



「ちょっ!ダメだって言ってるでしょ拓!!」
「だ、大丈夫です麗さん!」
ちゃん!!?」






「拓―!俺は?」

「お前は来るな」

「なんでや!?」










の腕を引くと拓は心配そうな麗と零時をよそに部屋の外に出た。



どうやら部屋は2階にあったようで、トントンッと階段を下りると
また、あの賑やかな酒場に出た。
相変わらず大騒ぎをしながら酒を飲んでいる。











「ここで待ってろ」











拓はそう言って賑やかな集団の中に消えていくと、
ジュースの入ったグラスを2つ持ってすぐに帰ってきた。










「ホラよ」
「えっ?」
「えっ?じゃねぇよ。飲まねぇのか?」
「あ・・・飲み、ます」










ジュースの入ったグラスを受け取ると、 と拓は静かな場所に移り壁を背に座った。











「ねぇ・・・」
「あ?」










グラスから口を離すと拓は俯く に目を向けた。










「あの社長の言ってたこと・・・本当なの?」














――― 例えば、死んだ家族を蘇らせたい・・・とか





――― 叶えてあげるよ?その夢を














「ねぇ・・・本当に」

「本当だ」











言い切る拓に、 は目を見開いた。











「ここに来る途中に言ったよな?ここはある目的のために働く裏組織・・・
 そんな会社がこの世界にはいくつもあるって」



「うん」
「その目的っていうのが・・・社長の言ってた「それ」だ」











は拓の言っている意味がわからず首を傾げた。











「俺の力を見ただろ?この世界には数は少ないが魔力を持った人間がいる。

 昔はもっといたんだ。その中で、そこらへんの奴等とは比べ物にならないほど

 強力な魔力を持った男がいた・・・」










拓は自分の手を見つめるとギュッと拳を握り締めた。










「その男は・・・死ぬ間際に時計を残した」
「時計・・・?」

「自分の魔力を全て押し込めた時計だ。それを動かすための鍵と一緒にな・・・
 お前が社長室に入ったとき「見せたい物がある」って言ってたろ?それが「時計」だ」










鍵がなければただの壊れた時計。
今は別々に存在する時計と鍵がもしも一緒になったら・・・。










「社長はその時計と鍵を手に入れて、力を手に入れようとしてるんだ・・・
 強力な魔力を持つ時計。それがもしも誰かの手に渡ったら・・・」



「・・・渡ったら・・・?」

















「世界を手に入れることだって難しくない」












もちろん・・・死んだ人間を蘇らせることだって・・・。















× ―――――――――― ×

女性オリジキャラ登場!!

この方も俺の好みモロバレって感じです・・・(笑)

名前は 「神姫 麗 (しんき れい)」

皆さん覚えてください♪

他のキャラが男しかいないので麗にはヒロインの

お姉さん的存在になってほしいな。と企んでおります。







2008.1.19