――― 約束 ―――







「周くん・・・。私・・・今度引越しするの・・・。だからね。もう会えないの」

「じゃあ、僕と で約束しよう!10年後、この木の下で会おう。会えたら・・・その時言うからね・・・」

「ん?何を?」

「いいや。なんでもないよ。2人だけの約束だよ!」

「うん!私、絶対に戻ってくるよ!」






――――― バイバイ ―――――















「んー・・・。あ・・・夢か。なんだかなつかしいな・・・。周くん元気かなぁ」




ふっと、カレンダーを見てみると今日の日付は、あの約束をした日から10年たった日だった。




「あ!・・・今日かぁ・・・。でも、本当に来てくれるか分からないし・・・。
 きっと周くんだって忘れて来ないよね。行ってもムダだよ。うん。あ、そうだ!
 今日は と遊ぶ日だっけ!!準備しなくちゃっっ」



っと、 は出かける準備をし始めた。









「よし。これで準備オッケー・・・って、あれ?メール入ってる。誰からだろう・・・」



メールを開いてみると のアドレスからだった。








件名 ごめん!!
―――――――――――――――――
内容 本当にごめん!急な用事が入っちゃって
    行けなくなった・・・!!!
    今日はキャンセルでお願い!!
    本当にごめん!!!








それは、今日の予定がキャンセルになってしまったメールだった・・・。



「うそぉ〜。せっかく準備したのに・・・。まぁ、でもしょうがないよね・・・。
 それにしても・・・このまま家にいるのもたいくつだしなぁ・・・。出かけてみようかな」




なんとなくその時の気分で、 はお気に入りの靴をはいて玄関の外へと出た。













「うわぁ〜。なつかしいなぁ。景色も前と全然変わってないし!ちょっと探検してみようかなぁ〜」



青春台駅を降りた は、10年前に住んでいた町並みを見に行った。
そこは10年前と全く変わっていなく、お店や家、道、公園など、なつかしいものが沢山あった。






どれくらい時間がたっただろうか。
空は夕焼け色に輝いていた。


時刻は5:30・・・。






「あー・・・。もうこんな時間。そろそろ帰たなくちゃ」




慌しく帰ろうとする の頭に、ふっと朝の木の事を思い出した。




「そういえば・・・あの木、この近くにあったはずだよね・・・」





自然と の足はあの思い出の木のあった方へと歩いていった。









少し歩いた先には、もともと大きかった木がさらに大きくなった1本の木があった。



「・・・おっきぃ・・・。こんなに大きくなったんだ」




木に感心しつつ は辺りを見渡した。
しかし、人のいる様子はまったくなかった。





「ふぅ・・・。やっぱり来るはずないよね・・・。バカだ私・・・何期待してるんだろう・・・
 10年前の約束なんて・・・覚えてる方がすごいもの・・・・」








来るはずがない・・・そう思ってもやはりショックは受けてしまうものだ。




「・・・帰ろう・・・」




突っ立っていてもしょうがない。と、歩き出した 。とその時








?」







の後ろから1人の声が聞こえてきた。




「えっ?」






思わず振り向く 。その目の前には10年前の面影がある人・・・不二だった。




「周・・・くん?」

?やっぱりそうなんだ!」

「う・・・そ・・・。本当にあの約束覚えててくれたの・・・?」

「勿論だよ。忘れるわけないじゃないか」






もしかしたら、たまたま思い出しただけかもしれないのに・・・それなのに、嬉しくて。








・・・・・?泣いてるの?」

「ちがっ・・・泣いてなんか・・・・ない」





かわいくない。自分でもわかってしまう。つい、強がりを言ってしまう自分が大嫌いだ。






――――― クスッ・・・・・。

・・・えっ?今、笑っ ―――――



「相変わらずだね。 。・・・・・でも」






――――― ギュッ ―――――






「・・・でも、そんな君が、僕は大好きなんだよ・・・」

「う・・・そ・・・」





信じられない。まさか・・・周くんが・・・・私を―――






「本当だよ。10年前に言いたかったんだけど、ここまで引き伸ばしちゃったんだ。
 あの時はまだ言う勇気がなくてね・・・でも、今なら言えるよ」




不二は を腕から放し目を合わせると・・・言った。








「好きだよ ・・・・・この気持ち、受け取ってくれる・・・?」

「そんなの・・・・・」






決まってるじゃない・・・・・。






「私も・・・周くんがずっと・・・好きだったの・・・。引っ越す前から・・・ずっと」





が言うと、不二はニッコリと笑みを浮かべて言った。




「お互い・・・ずっと両思いだったんだね。10年間・・・ずっとね」

「うん・・・でも、また会えて・・・気持ちも伝えられて良かった・・・」




そう言うと も笑みを浮かべた。








「長かったね・・・10年」

「そうだね・・・。でも今までの10年分、これから2人でうめていこうね」

「・・・・うん」







そして、夕焼け空の下で、2つの影は1つになっていった・・・・・。















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こちらは中3になって瑞希様よりいただいたものです。
素敵なドリーム・・・ありがとうございました!!!(涙)
こんな私に・・・こんな素敵なドリを!!

また今度、ドリ交換でもしましょうね。