「ねぇ!忍足ー!」
「・・・・・。」
「忍足くーん?」
「んー・・・?」










○ 伝えたい ○










「どうしたの忍足?ボーッとしちゃってさ」
「ん?別に何でもあらへんよ」
「嘘だ。何か悩んでるんでしょ」






時間は昼どき、教室の1番奥にある窓側の席で向かい合わせに俺の顔を
覗き込んでくるんは同じクラスの
男子テニス部マネージャー。
そんで我等が部長、跡部の・・・可愛え彼女。






俺が・・・ずっと好きやった子。










「忍足ってばー!!」
「んっ!?呼んだ?」
「ホラッ!やっぱりボーッとしてる!!どうしたの?具合悪い?」
「何でもあらへんって。 の可愛さに見とれとっただけや♪」
「あはははははっ!ナイスボケ!!」



いやボケたつもりないって。








ガラッ!!






突然開いた教室の扉。
そしてクラスの女子達の小さな悲鳴・・・お出ましやな。






「あ、景吾!!」






の表情が一気に明るくなる。






「行くぞ。
「うん!じゃあね忍足!」
「いってらっさい♪」






手を振りながら嬉しそうに跡部と外に消える の後ろ姿を見つめながら俺は溜息を1つ。










もうこの流れはお決まり。



が跡部のために弁当作ってきて、跡部が教室まで を迎えに・・・
そして2人で中庭デート。






自分の分に買ったパンをすべて平らげると、
紙パックのジュース片手に窓から中庭を見下ろした。






「あ、 と跡部や・・・」






ちょうど2人とも話に夢中でこちらに気付いてへん。
それにしても・・・。






「あんな優しい顔で笑うんやなぁ・・・あの跡部も」






まぁ、 限定やけどな。










「俺の気持ち知らんと・・・いい気なもんや」






ずっと・・・ずっと好きやったんやで? のこと。






なんて、今更言っても遅いやん。



「かっこわる・・・」





















「おいっ、忍足。テメェ何してんだよ」






部活が始まってすぐ、俺は1人壁に寄りかかってボーッとしてる忍足に歩み寄った。






「ん?見てわからへん?」
「わからねぇから聞いてんだろ」
「自主練習ー」






俺はちょうど持っていた部誌で思いっきり忍足の頭を引っ叩いてやった。






「ただコート眺めてボーッとしてるだけじゃねぇか」

「痛いわ!景ちゃんのアホ!ちゃうで?今イメージトレーニング中やったのに
 景ちゃんの1発で全部パーや」

「バーカ。一生やってろ」






部室へ向かおうと背を向けた瞬間、忍足の声が急に真剣なものへと変わった。






「なぁ、跡部。もしもやで?
 もしも俺が のこと好きやって言うたら・・・どないする?」






思わず足を止める。






「あーん?冗談言ってんじゃねーよ」
「冗談・・・なぁ」






俺の横を通り過ぎながら忍足は余裕そうな笑みを浮かべて言った。






「じゃあ、本気やったらどないする?」






そう言うと忍足はそのままコートを後にした・・・。










ガチャ。






「あ!忍足!!」






部室に入ってきた人物を見て、 は笑顔を向けた。






「ねぇ忍足。部誌しらない?どこにも無いんだけど・・・」
「それやったら跡部が持ってたで?」
「本当?ありがとう!!」






部室を出て行こうとした を見て、忍足は思わずその扉を閉めた。






「忍足?」
「なぁ・・・ は跡部のこと好きやんな?」
「えっ、うん」






「もし、 が別の男とキスしとるとこ跡部が見たら・・・どんな顔すると思う?」






を優しく抱き寄せた忍足は顔の距離をグッと近付けた。








「跡部には内緒やで?」













バンッ!バンッ!!






「おいっ!忍足開けろ!!ここ開けろよ!!」






鍵のかかった部室の扉を叩きながら俺は最悪な状況を思い浮かべた。






に手ぇ出したら許さねぇ・・・」










ガチャ!!






突然開いた扉。
俺は目の前に現れた忍足を睨みつけると胸ぐらをつかんだ。






「テメェ、忍足!まさか に何かしたんじゃ・・・」
「け、景吾待って!!」






後ろから現れた に俺は思わず手を放した。






「待って。ね?」
「落ち着きぃ跡部!俺は何もしてへんで!?」






両手を上げて見せる忍足。



本当・・・だろうな?






「チッ・・・」






忍足から離れるとあいつは笑って俺の耳に口を近付けた。






「今回は退くわ。せやけど、もし跡部が のこと泣かしたら・・・
 今度こそ俺がもらってまうで?」

「・・・やっぱり狙ってやがったな」






フッ。と笑うとあいつはコートへ消えた。
隣で不安そうにしている と部室に入ると扉と鍵を閉めた。






「跡部。忍足は何もしてないからね!?」
「黙ってろ」






俺は の腰に腕を回すと、少しきついくらいに抱き締めた。






「お前が他の男と一緒にいるだけで腹立つんだよ」
「・・・やきもち?」
「うるせぇ」






跡部の腕の中で笑う は頭の片隅で忍足の言葉を思い返した。










――― 「跡部には内緒やで?」






そっ。と の額にキスを落とすと忍足は優しく微笑んだ。






「忍足・・・どうして、こんな」

「このままやったら俺の気持ちが行き場なくして溢れてまう。
 身勝手やけど・・・これだけは伝えさせて?」






―― 幸せに・・・ ――










「跡部。私のこと好き?」
「今さら何言って・・・」
「聞きたい。」








「愛してる・・・」








絶対に誰にも渡しやしない。
俺の腕の中で笑うこいつだけは・・・。










〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
オフでもお世話になっております 渋谷様から

とっても素敵なプレゼントをいただいたので

お礼という形で書かせていただきました。

リクは「跡部とのカプで忍足とのvs

の・・・はずだったんですけど・・・。撃沈!!

忍足でしゃばり過ぎじゃね?これって・・・(汗)

ファイト跡部☆(お前なぁ)

こんな駄作ですみません 渋谷様!!(涙)





音沙から 渋谷様へ。