Swindler







〜?」
「ん〜?」



「見てみんしゃい!この雑誌!!」
「ふ〜ん」






つまらん。
せっかく今日は部活休みで部屋に遊びに来たのに俺の彼女はさっきから本とにらめっこ。
俺のことなんかぜーんぜん構ってくれん。






ー。ヒマ!構って?」
「うん。あとでねー」
「あとでねー。そのセリフは聞き飽きた」




苛立った俺は が読んでいた本を奪い取った。
とたんに の顔が不機嫌になっていく。


こんな表情の変化を見て楽しんでる俺って重症かもしれん。





「もー!返してよ仁王!!」
「イヤ。って言ったら?」
「ふざけないで!!」



から奪い取った本を頭の上にあげる。
俺と の身長差なら絶対に届かない。


ぴょんぴょん跳びながら本を求める を見て思わず吹き出した。





「な、なに笑ってるの!?」
「クックックッ・・・ 、本返して欲しい?」
「うん!」




あーぁ。嬉しそうな顔しよって・・・。
俺、本にヤキモチやくかもしれんのぅ。




「じゃあ構って?」
「・・・どうすればいいの?」









「キス♪」
「却下」
「じゃあチュー」
「同じじゃん」





「じゃあ何ならいいん?」
「仁王が考えてるようなことは9割ダメ」








さすがの俺も凹むじゃろ・・・9割って・・・。
彼氏がソファの上で落ち込んどるのに、彼女は返した本をまた読み始めとるし。



?」
「ん?」





が俺のことほっとくなら俺は俺で別の女と遊んでいいじゃろ?」
「うんー」







・・・ほぅ?







「彼氏が浮気宣言しとるのに気付いとる?」
「だって仁王がそんなことするわけないし、冗談なんでしょー?」





信じきっとる。
俺が自分のそばを離れんと信じきっとるな。
それじゃ・・・俺はその期待。簡単に崩してやるから覚悟しんしゃい。














ピリリリリリ・・・・・。



「あ、俺のケータイ」



机の上で鳴り響いたのは俺のケータイ。
電話だと気付いて、さりげなく に背を向けた。







「なんじゃい急に?俺に会いとぉなった?あはははは!図星かい!!
 ん?明日?俺は構わんよ。彼女?あぁ・・・別に気にせんでいい。うん。
 ずーっと本読んどるし、ほっといても問題なし。だから気にしなさんな」


「・・・仁王・・・?」


「明日の待ち合わせ場所はどこにするー?あぁ・・・了解。
 じゃ、俺のためにオシャレしんしゃい。そしたらご褒美にキ・・・」




ピッ。




手からケータイが消えて、かわりに の怒りに満ちた顔が目に入った。
さっきまで読んどった本は床に乱暴に落とされとった。




「なに?」
「なに・・・じゃない。仁王今、誰と話してたの?」
「なんで に教える必要があるん? が言いよったんよ?別の女と遊んでもいいって・・・」
「でも、あれは冗談で」
「冗談?何言ってん・・もう無理。約束したし」
「そんなの・・・そんな・・・」




怒りに満ちていた顔はすぐに崩れて、今すぐにでも泣き出しそうな顔になった。



あ、もう無理。ここまでショック受けるとは予想しちょらんかった。






「・・・仁王」
「嘘!」



左腕を の腰に回して抱き締めると、右腕をケータイに伸ばした。





「女なんかじゃなか。ほれ!見てみんしゃい!!」





「なに?」
「俺がさっきまで話してたのは柳生!テニス部の柳生!!」
「・・・柳生君?」




ケータイの着信履歴には柳生の名前。
は驚いた顔でケータイを見つめとる。




とりあえず、大泣きされながら別れ話はされずにすみそうやのぅ。




「妬いた?」
「・・・ビックリした・・・」



「本と俺。どっち構いたい?」
「・・・仁王」





はそれから俺にギュッと抱き付いて離れんかった。
可愛い。可愛過ぎるじゃろこれは・・・。



今日はちょっと苛めすぎたかのぅ?



まぁ・・・ちょっとお仕置きってことで・・・。











●オマケ●
(仁王と柳生の電話での会話)



「なんじゃい急に?俺に会いとぉなった?」
「何言ってるんですか。明日の打ち合わせ覚えてますか?」



「あはははは!図星かい!!ん?明日?俺は構わんよ」
「そうですか・・・ さんと約束が入ってるとか言ってませんでしたか?」



「彼女?あぁ・・・別に気にせんでいい。うん。
 ずーっと本読んどるし、ほっといても問題なし。だから気にしなさんな」
「それはちょっと言いすぎなんじゃないですか?ってことは今そばに さんがいるんですね?」



「明日の待ち合わせ場所どうするー?」
「いるんですね。まったく・・・あまり彼女をからかってはいけませんよ?
 明日の打ち合わせは昨日話した通りでいいでしょう」



「あぁ・・・了解。じゃ、俺のためにオシャレしんしゃい。そしたらご褒美にキブツッ!!
「・・・切れた」










〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1111番を踏んだ透夜様に捧げます。

リクエストは仁王で「ほのぼのか微微微微甘!!」
ということですので微微微微甘にしてみようとしたら
撃沈しました!!!!!(爆)

なんかもう本当に謝罪の言葉しか浮かびません。
こんなものでよければ貰ってやって下さい。

それでは、おめでとうございましたw
これからも私のサイト共々宜しくお願い致します。




2006.5.7