生きるモノのはすべて意味がある・・・。
○サクランボ○
いつもより涼しい放課後・・・
は鞄を背負うと真っ直ぐある場所へ向かった。
ガラッ!
着いたのは図書室。
少し傾いた太陽の光が図書室の中を照らしていた。
「
先輩?」
「ん?あ・・・リョ−マ?」
本の貸し出しをするカウンターに男子テニス部の1年生、
越前リョ−マが不機嫌そうな顔で座っていた。
「どうしたの?1人?」
「委員会っス・・・。」
「(あぁ・・・だから部活に出られなくて不機嫌そうなんだな?顔が拗ねてる・・・)」
はリョ−マの座るカウンターに鞄を置くと本棚へ向かった。
「暇でしょう?誰もいないもんねぇ」
「・・・まぁ、
先輩来てくれたし・・・逆に誰もこなくていいけど・・・」
「ん?何か言った?」
は、本を取り出しながら振り返った。
リョ−マは頬杖をつきながらこちらを見る。
「別に。」
「教えて。」
「ヤダ。」
「・・・かわいくない・・・」
今度は
が拗ねたように手にとった本を開く。
その本は色とりどりの花が表紙になっていた。
「その本・・・何の本?」
「これ?えっと、花言葉!」
「花言葉?
先輩ってそう言うの好きなの?」
「うん好き!だって花1つ1つに名前があって言葉まであるなんて・・・
そういうのって調べてみたくならない?」
別に。とリョ−マが短く返事を返すと、
は少し頬を膨らませ やっぱりかわいくない。
と背中を向けてしまった。
「見せて。」
「へっ?あ、コレ?」
リョ−マが手を伸ばしてきたので
はカウンターへ歩み寄り、リョ−マに本を渡した。
リョ−マは本を受け取るとパラパラとページをめくっている。
「同じ花でも色で花言葉は違うんだよ。花の数だけ言葉もあるから凄いよね。」
は本棚へ戻りながら指折り花の名前と言葉を上げてゆく。
「カスミソウは切なる喜び・・・ピンクのスミレは愛。黄色の勿忘草は誠の愛、
白は私を忘れないで・・・赤のヒヤシンスは嫉妬で、黄色のスターチスは誠実」
パタンッ。
本を勢いよく閉じた音に
は反射的に振り返る。
リョ−マは立ち上がると制服のポケットに手を入れテニスをしている時よりも
ずっと真剣な顔で
に歩み寄った。
「じゃあ
先輩?赤いチューリップの花言葉、知ってる?」
「赤のチューリップ?」
はリョ−マより少し背が高いので、顔を見るためにはリョ−マが
少し頭を上げる必要があった。
「じゃあ教えてあげるから耳かして?」
リョ−マは
の腕を掴むと自分の方に引き寄せ耳もとにそっと口を近づけた・・・。
「赤いチューリップの花言葉は・・・
―――――――――愛の宣告―――――――――
好きだよ。
先輩。・・・。」
おまけの一言。
ちなみにこのドリームの題名である「さくらんぼ」
の花言葉は・・・小さな恋人、デス!
END