「あっ、サエさんサエさん!見て見て!!」






テニスの練習中、剣太郎が妙に騒ぎ立てるから何かと見てみれば・・・。

あぁ、なるほどね。

彼女がこっちを見て笑っていた・・・。










見ていてね










テニスコートから教室の窓の方を見上げると、
同じクラスの が頬杖をつきながらこちらを見ていた。
隣で両手を振る剣太郎に気付いたのか笑いながら手を振り返している。






「頑張れ。」っと口が動いたのを見て、俺もラケットを振って返事を返した。















「あれー・・・?」






朝練も終わってすぐに教室に行くと、いるはずの後ろの席がカラッポ。






これは・・・。










の奴・・・またサボってるな?」










鞄を置くとそっと教室を抜け出し、もう慣れた道筋で目的地に向かった。



目指すは・・・屋上。










「みーつけた。」










重苦しい扉を押し開けると気持ちいい風が髪を揺らし、青い空が視界いっぱいに広がった。
そんな空間である屋上の隅で捜していた彼女を発見。










「ありっ?サエ!」

「やっ。






片手を上げて軽く挨拶。
右隣に腰を下ろすと もスッと場所をずらしてくれた。






「サエもサボり?いっけないんだー」

「それは も一緒じゃん?」

「あはは。まぁね!」






いや、決して威張る場面ではないと思うが・・・。
そんな がおかしくて思わずクスッ・・・と小さく笑うと、それに気付いたのか
はムッと唇を尖らせた。






「なに笑ってるの」

「だって・・・ が!クハッ!!」






しまった。
の百面相にツボってしまった。

口を押さえながら笑いを堪えるが今更遅い。






「人の顔見て笑うなんて失礼しちゃう。サエのバーカ」






ほらっ。怒っちゃった。



散々笑った後でそっぽを向く彼女に謝った。






「はぁー・・・ 。ゴメンね?」

「・・・・・・・・・・・。」

ちゃーん?」






あら、もしかして本気で怒ってます?










キーンコーンカーンコーン・・・。










そんな時、学校中に授業開始を知らせるチャイムが鳴り響いた。
もちろんその音は屋上にも響き渡ったが、もともとサボりにきた2人には
特に意味のないものだった。










「ねぇ。サエ」

「ん?」

「1つ聞いてもいいかな」

「条件としてさっきの事許してくれれば♪」

「・・・もう怒ってないし・・・」






「何かな?」っと聞き返してみると は横目でチラッと俺の顔を窺った。






「サエは何でいつも私がサボってると一緒にサボってくれるの?1回や2回じゃないよね」

「んー・・・」






そう来ましたか。






「俺は授業受けなくても成績いいし♪」

「うわっ。性格悪っ、笑顔胡散臭い」

「・・・ちょっと傷付いたよ?俺」






しかも冗談だって・・・そんな引かないでってば。








「真面目に答えよ」

「真面目に・・・」








何で一緒にサボるのか・・・。










と一緒にいたいから・・・じゃ、ダメかな?」

「・・・えっ?」






今度はちゃんと、 は俺の目を見た。



驚いてる・・・。
いや、実を言うと、言った本人が1番驚いてたり・・・。






「えっと・・・」






お、落ち着け・・・落ち着け。顔に出すな。かなり心臓が煩いがクールを保て。
・・・とかなんとか自分に言い聞かせてみるが、果たして効果はあるのだろうか?










「な、にそれ・・・?」

「えっ・・・とね」










とはただのクラスメイトで、席が近くて。

よく話して、一緒に笑って。

朝や放課後にテニスの練習をしてるといつも教室の窓からこちらを見てて。

そんな を見つけるとこっちも嬉しくて・・・。






ただの、クラスメイト・・・。本当に?








――― サエは何でいつも私がサボってると一緒にサボってくれるの?








なんでって・・・そりゃあ。










「好きだから。」

「・・・へっ?」

が、好きだから・・・」










一緒にいたいんだよ。










気付いたときには遅かった・・・。
好きだと気付いた瞬間に急に制御が利かなくなって。



俺は、 の口を塞いだ。










「サ、エ・・・?」










やっと唇が離れた時、正直この時が1番冷静だったかもしれない。










「嫌・・・だったよね。ゴメン」

「あ、えっ・・・」










立ち上がって屋上の扉に向かって歩き出す。
背後で が慌てた様子で立ち上がって、俺の名前を呼んだのに気付いた。










「サ、サエ!私も、好きだから・・・」

「えっ・・・!?」

「私も、サエ好きだから・・・」










うつ向いて、消えそうな声でそう言ってくれた・・・。
駆け戻ると、もう冷静とかクールとかそんなもの全部捨ててただ強く、 を抱き締めた。










「ちょっ!サエ!?」

「よかったぁ・・・!!」

「えっ!?」

「返事聞く前にキスしちゃったからどうしようかと・・・よかったぁ!!」










一気に力が抜けた・・・。それと同時に溢れ出すほどの嬉しさ。
抱き締める力を緩めて の顔を見ると、真っ赤にして・・・ちょっと照れ笑いをしてくれた。






あ、それ反則。






「可愛い・・・」

「ん?」










わざと音を立てて頬にキスをすると は再び顔を真っ赤にしながら
怒ったように俺を睨みつけた。






「ハハッ。可愛いすぎ」





















「あっ、サエさんサエさん! さんだよ!!」










放課後の練習中、また教室の方に向かって大きく手を振る剣太郎。
視線の先にはもちろん・・・俺の彼女。










「頑張れ。」



そう口が動いた。



「うん。」





今日からは、一緒に帰ろうね。














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キリ番12300番と踏んでいただいた 様に捧げます。

リクエストは「佐伯・クラスメイト設定」とのことだったのですが・・・。

実は私、サエさん初挑戦でした!!(ガーン)

なので話し方やキャラなどに似てない部分が多々見つかるとは思いますが

大目に見てください!!(土下座)

では!キリ番おめでとうございました!!



これからもよろしくお願い致します。



DeepSpace管理人、音沙