「あれ?」
「どうした ?」
「ここ電波悪いなぁー」








はそう言って眉をしかめた。








「窓に近付けばマシになるんじゃないですか?」
「そっかなー?」


「そう言えば、電波が悪いときは1度電源を切るといいとか言いますよね」
「本当?」


「あと振ってみるとか」
「へぇー。」








それを聞いた 窓際で電源を切った携帯をブンブン振り回してみた。








「こんな感じ!?」
「ところで跡部はまだかよ?」
「ミーティングが始められませんね」
「シカトかよ。オイッ」








えっ?無視?完璧無視ですか?


なんか私すっごく悲しい人じゃん!哀れな人じゃん!!








「完璧に無視してくれちゃってるじゃない?シカトかこの野郎ー!!!」








ブンッ!








「おっと」








ガチャ・・・。








「全員集まってるかガンッ!!!








「「「・・・・・・・あっ・・・・・・・」」」










さて・・・あまりにも急な展開なので始めから説明しましょう。










キレた が持っていた携帯を宍戸に向かってブン投げたところ・・・
(よい子は真似しないでね。)

宍戸は間一髪で携帯を避けてしまい・・・

そこへタイミングよくドアを開けた跡部様の自称美しい顔にクリーンヒット☆

場の空気は・・・と言いますと冷たいです張り詰めています。

跡部さんの額に「ピキッ」と青筋が浮かぶ音しか聞こえません。










「・・・なにしやがる」

「私じゃないよ。亮だよ」

「ふざけんな。日吉だろ」

「やめて下さい。鳳ですよ」

「えぇえ!?お、俺!?」








跡部がジリッ・・・ジリッ・・・っと4人に近付いて来る。
その間4人は足首をほぐしたり首を回したりしている。準備体操だ。








「わざとじゃないのに・・・」
「バーカ。誰だって怒る」
「仕方ありませんね」
「悪いのは 先輩なのに・・・」
「言ってくれるわねチョタ。後で覚えておきなさい」








跡部が床を蹴ったと同時に試合が始まる。








日吉はソファを飛び越えるとそのまま目の前の窓から外に飛び出し・・・

長太郎は跡部の脇をスレスレで走り抜け開いていたドアから逃亡に成功。

宍戸は机を踏み台に跡部の頭上を飛び越えると日吉と同じ窓から逃げ出した。

そして は跡部と睨み合ったのち跡部の肩に両手を置いてクルンッと回転すると

落ちていた携帯を拾って外に出た。








「待ちやがれ!!」
「待つかってんだアホ部ー!!








疾走していると先に逃げ出した3人にも合流した。








「うまく逃げたなぁ」
「当たり前よ。私を誰だと思って・・・あぁっ!!」
「どうしたんですか?」
「電波!バリ3立ってるよ!!」
「まぁ外なら立つでしょうね」
「これで電話できるよー」








は走りながら携帯に番号を打ち込むと相手が出るのを待った。








「もしもし、滝?今どこにいるの?えっ!他のみんなもそこにいるの!?
 じゃあちょうどいいや。私達ね、今4人で世界一タイミングの悪い男から逃げてるとこー。
 詳しい話は後で説明するよ。わかった!じゃーねー!」








ピッ!








「滝か?」

「うん!他のみんなも一緒にいるって。それで・・・
 面白そうだから今からこっちに向かうってさ」








「賑やかになりますね」
「そうだな・・・」








その後、第124回男子テニス部主催大鬼ごっこ大会が始まった。





















2006.11.12