「誰かに優しくされたら、その優しさは必ず返すんだよ。

 そうすれば、また自分に優しさが返ってくるはずだから・・・」















Battle 〜05〜     【 ヤバイ 】















カチッ、カチッ、カチッ・・・。










暗い部屋の中には時計の秒針の音だけが響いている。
動きやすいようにラフな服へ着替えると、少しだけ踵が高くなったブーツ型の靴を履いた。










「いってきます・・・」





バタンッ。










穏やかだった昼間とは真逆に、今は風が強めに吹き荒れ髪を激しく揺らしている。
はそんなこと全く気にかけずにポツリポツリと明かりが点る大通りを歩いていた。










ドンッ!!



「!!」

「いてぇ!!」










肩と肩が突然ぶつかる。
見上げると明らかに悪酔いしている若い男が2人、 をギロリッと睨み付けた。










「おいっ。何ぶつかってきてんだよ?」

「はっ?ぶつかってきたのはそっちでしょう?」

「あぁ!?」










その言葉に男の1人はキレたように のシャツをつかんだ。










「んだと?このガキ!!」

「・・・なに」










キンッ・・・!!





「「!!?」」










鋭く尖ったような の冷たい瞳に、男の手が一瞬緩んだ。










「お、おいっ!この女ヤバイって、行こうぜ」

「チッ・・・」










恐怖すら感じた男達は、そのまま を突き放すとまた歩き出してどこかへ消えていった。















――― この女ヤバイって!!















「・・・当たってるかな」










少しだけ苦笑すると は目的地であったストリートテニス場へ続く階段を上がり始めた。
1段1段上がりながら は黒い革の手袋をギュッと嵌めた。

ナイト整備が充実しているそこは、見事なまでにテニス場全体を
明るく照らし出していて、 は少しだけ眉をしかめた。










「やっぱり来たね」

「!!」










コートの真ん中にはすでに5人の男達が を待ち構えていた。

夜だというのに帽子を被った背が低い男に、ツンツン頭でニヤッと笑う男・・・
頭にバンダナを巻いて低く唸る男に、眼鏡を押し上げながら片手にはノートを持つ男・・・
そして、一見人が良さそうにニッコリ笑う男の5人が全員 に視線を向けていた。










「あんた達は・・・?」

「あんたの噂を聞いて1度戦りたいと思ってたんだ。ねぇ、バトルしようよ」










帽子を被った男が1歩前へ出る。 は口元に笑みを浮かべながら男にきいた。










「いいよ。でも、その前に聞きたい。あんた達はチーム?」

「まぁね。5人で組んでる」

「じゃあ、いいよ」










帽子を被った男がニヤリッと笑う。















ダンッ!!










地面を蹴って最初に動いたのは男の方だった。
は右足に重心を置いて左足を振り上げる。










シュッ!!



「!?」










しかし、男は帽子を押さえながら姿勢を下げ、 の蹴りをかわすと
拳を握って顔面目掛けて振り上げた。










「くっ・・・!?」










蹴りを繰り出したせいで体勢を崩さなければ攻撃を避けることが出来なかった は、
地面を転がりながら再び立ち上がった。










「フーン。やるじゃん」

「あんたもね」










睨み合いが続くなか、背後から低い声が響いてきた。










「越前!おそらく彼女は右からの攻撃に弱い。軸となる右足に集中しろ」

「!!」

「了解っス」










見ると、眼鏡をかけた大男がニヤッと笑みを浮かべて2人を見ていた。










「あいつ・・・!?」

「うちのデータマンだよ」










一瞬にして越前と呼ばれた男が姿を消す。
ハッ!と振り返った瞬間、越前の姿を目の前にして の目付きが変わった。










キンッ・・・!!





「えっ・・・?」










ドゴッ!!





「ぐっ!?ガハッ・・・!!」










瞬間、何が起きたのか周りにいた者ですら分からなかった。
目付きが変わった に、越前が隙を見せると同時か・・・
それより速く鳩尾に深い蹴りが決まったのだ。

吹き飛んだ越前は膝と手をついて激しく咳き込んだ。










「ゲホッゴホッ!!」

「逃げろ!越前!!」










越前が顔を上げると、ゆっくりとした動きで がとどめを刺そうと動いた。















!待って!!」










ピタッ。 の動きがまたもや止まる。
振り返った瞬間、 は目を見開いた。










いつの間にか・・・自分は囲まれていたのだから。















◆ ―――――――――― ◆

越前との初・バトル!!

バトルの表現が上手くいかないので

グッチャグチャになっているかもしれませんが・・・

まぁ、雰囲気で(殴)







2010.1.1