「人に優しくするってことは意外と難しいんだ。

 人に優しくしようとするとき、人は少しの勇気が必要になるんだよ」















Battle 〜04〜     【 オトリ 】















ドサッ!!










真っ暗な部屋の中で、電気もつけないまま はベッドにダイブした。










「はぁ・・・」










驚いた。ただ驚いた。
まさか・・・まさか周助くんに会うだなんて。何年ぶりだったか・・・。



普通ならあの場面でお互いを抱きしめながら「久しぶり」と笑顔で笑い合うはずだが・・・
私達は違う。周助くんの顔を見れば、彼も同じ気持ちだということがよく分かる。















―――  。探したよ・・・ずっと。















逃げるしかなかったんだ。あの場では逃げるしか・・・。
私はまだ彼らと再会してはいけない。あの日、自分でそう決めたから・・・。

ただ、一言だけ伝えておきたかった事は伝えた・・・。















――― ごめんね。















「ごめんね・・・周助くん」









































「不二・・・昨日の夜からずっとあの感じだね」










次の日の昼。天気はカラッと晴れて、気持ちのいい風が髪を揺らす。
そんな中チーム『青学』は学校の、誰も使っていない一室に集まっていた。
全員の視線は窓の外を眺める不二に向いている。
不二は一言も話さず、ただポッカリ心が抜けたように何の意識も感じられなかった。










「不二」










後ろから聞こえてきた声に振り返ると、眼鏡を逆光させながら乾が立っていた。
その迫力に不二も一瞬怯んだように目をパチクリさせた。










「な、なにか用?乾」

「昨日の幼馴染だが・・・次に現れる時間と場所がわかったぞ」

「!!」

「「「えぇ!!?」」」










ガタガタッ!!と全員が驚きに立ち上がる。
不二にいたっては掴み掛かる勢いで乾に詰め寄った。










の現れる場所が・・・?」

「マジっスか乾先輩!!」

「あぁ。昨日のうちに被害に遭ったチームに話を聞き、彼女が現れた時間と場所を調べ、まとめた」

「いつの間に・・・」

「時間は調度チームが行動する夜中の12時前後。場所も、チームのたまり場として
 有名な所にしか現れないようだ。どうやら彼女はチームだったら手当たり次第に勝負を挑んでいるようだね」










その言葉に、不二は少しだけ眉にシワを寄せた。










「今夜は・・・?」

「おそらく、通りにあるストリートテニス場だ。あそこもチームのたまり場だからな」

「じゃあ、今夜そこで待っていれば・・・」










不二の瞳が鋭く光る。
しかし乾はすぐに首を横に振った。










「いや、昨日の反応から言って不二の姿を見つけたら直ぐさま逃げられるだろう」










不二が小さく肩を落としたのが見て取れた。










「不二。お前は彼女と再会したがっているようだが・・・昨日のあの様子。何か訳でもあるのか?」










それまで黙って話を聞いていた手塚は静かに不二に問い掛けた。
しかし不二はゆっくりと首を横に振るのだった。










「ごめん。今は・・・まだ話せないんだ」










表情が少しだけ曇る。










「・・・そうか」










手塚を始め、メンバーは全員それ以上詳しく話を聞こうとはしなかった。










「でもー、不二はどうにかしてその幼馴染ちゃんと話がしたいんだよね?」

「うん。多少手荒でもいい・・・彼女を捕まえて、話しがしたい」

「でも相手の方が一枚上手だ。見つかったら即座に逃げられる」

「えっ、じゃあどうすれば・・・」





「おとり作戦なんてどう?」










教室の奥から聞こえてきた少しだけ高い声に全員が振り向く。
声の主はチーム青学の1年ルーキーと言われる男。越前リョーマだった。










「越前!おとり作戦ってまさか・・・」

「昨日、その幼馴染がちゃんと顔を見たのって不二先輩と
 大石先輩だけでしょ?暗かったし・・・あとのメンバーの顔なんて覚えてないんじゃない?」

「うん。なるほどな・・・つまり『青学』だとバレなければ彼女の方からバトルを挑んでくるはずだ」

「その隙に彼女を囲むって?しかし『おとり』なんて誰が・・・」

「大石!やりたがってる奴が1人いるよん」










笑いながら菊丸が指差す先には、ニヤッと悪戯な笑みを浮かべるリョーマがいた。















◆ ―――――――――― ◆

リョーマ楽しそうですねぇー・・・(他人事)

あれです。ここは原作と同じで「強い相手」を見つけたから

もぉー、バトルしたくてウズウズ。って感じです。

しかし話しが進まねぇな・・・(汗)







2009.9.20