「いいか?『ハート』は2つ存在するんだ。 『Heart』 は 心、愛情 って意味だな。
 そして 『Hurt』 は 傷付ける って意味だ。同じ読み方で全く違う」

「よく分からないよ」

「ハハッ!今はそれでいいよ。でもいつか、お前が・・・」















Battle 〜01〜     【 ハート 】















「HurtBattle」 というゲームを知っているだろうか?



限られた若者達の間で流行っている優劣を競う言わば・・・ 喧嘩 だ。
若者達は気が合う同士で 「チーム」 を組んで動いている。

話だけ聞けばただの喧嘩だと思うだろう・・・。
しかし、このゲームにはちゃんと ルール が存在する。





まず、ゲームを申し込むチームが対戦人数を決定。
ゲームを申し込まれたチームには試合場所を選ぶ権利が与えられ、両者 戦利品 を賭ける。



戦利品にもいろいろある。



金だったり・・・仲間だったり・・・チームの名前だったり・・・。






若者達はこの喧嘩で自分達の強さやチームの絆を確かめ合い、同時に競い合っている。
大人が聞けばただの喧嘩でも本人達にとっては時に、大切なものを賭けた勝負になることもあるのだ・・・。




















「グハッ!!?」





ズシャシャシャー!!










派手に地面を滑る人影。日付も変わったばかりの夜中では「人影」と例えるしかない。
月は生憎どんよりした雲に隠れてしまっていて光りを落としてはくれない。










「あーあー。ヤダヤダ。残念だけど私、あんたみたいな男タイプじゃないんだよね」










「もう1つの人影」が地面に沈む人影に語りかける。
状況から、この男は声の主である女に1発決められたようだ。

負傷した男を助け起こしながら、仲間であろう他の男達が女を睨み付けて声を張り上げた。










あぁ!?誰がお前みたいな女誘うかよ!!」

「ここは俺達の支配下にあんだよ!勝手に居座ってるテメェが悪いんだろ!!」

「支配下とか今どき言う?どこの独裁者だよ。「3分待ってやる!」とでも言うの?」










淡々とした言い方の中に混ざっている皮肉。
確実に馬鹿にした風の女に、男達の頭には一気に血が上った。










「ふざけんなぁあ!!」

「ぶっ飛ばしてやる!!!」










物凄い形相で殴り掛かってくる男達に、女はサラッと髪を風になびかせて・・・小さく笑みを浮かべた。




















重い雲が空を覆う。そんな中、僅かな隙間から一瞬だけ月が丸々顔を出した。
黄色い、眩しい光りが地上に降り注ぐ。










「ぁっ・・・ガハッ・・・!!










声にならない鳴咽を漏らす男を冷たく見下した女の姿に、その場にいた全員が凍り付いた。










「ごめんね」










月明かりに照らされた・・・女の形のいい唇がゆっくりと曲線を描く。















「私、強いから」









































「なぁなぁ、越前!聞いたことあんだろ?月影の女の噂!!」

「知らない」

「おチビに噂の類いは期待しても無駄だにゃー」

「フシュー。くだらねぇ」

「んだとマムシ!!あ、タカさんは聞いたことあるでしょ?」

「あぁ・・・ここ最近、1人でチームを全滅させてる女の子がいるって話しかい?
 どこの誰かも全て謎っていう」

「目撃情報もあるが・・・どうやら噂に様々な尾ひれが付いているようだ。信憑性は低いな」

「・・・こりゃたいへん」

「ねぇ、手塚はどう思う?」

「何がだ?」

「さっき桃がしてた話、だよ」










ニッコリと甘い笑顔を浮かべる不二。
手塚は視線を読み掛けの本に戻した。










「ただの噂だ」

「そう、噂・・・だといいけどね」










その時、一瞬だけ不二の瞳が悲しげに伏せられたこと事に・・・誰も気付くことができなかった。




















◆ ―――――――――― ◆

始まりました新・連載!!

えー。内容をざっくばらんに説明しますと

バトル(喧嘩)小説になると思います。友情系です!

パロディーなのでテニスはまったく関係無くなっています。

皆さんにドキドキ・ワクワクしていただけるような

スリリング(?)目指したいと思うので応援よろしくお願いします!!







2009.7.30