今更だけど思ったの星ってこんなに綺麗なんだ・・・


風ってこんなに気持いいんだ・・・


空ってこんなに青かったんだ・・・


それに気付かせてくれて・・・


ありがとう・・・。








No.39
    『Fade』








「もしもし蓮二?どうしたのこんな夜中に電話なんてめずらしい」

『あぁ。お前に会わせたい奴がいてな』

「会わせたい奴?誰?」

『その答えは窓から顔を出せばわかる』












私は携帯片手にカーテンと窓を開けた。



家の前には・・・携帯を持って通話中の蓮二と
夜にも関わらず眼鏡が逆光している貞治が並んで立っていた。

















『正解は貞治だバタンッ!シャー!!












私は何も言わずに窓とカーテンを閉めた・・・。

















「蓮二と貞治が一緒にウチに来るなんてますますめずらしいね。どうしたの?」












3人分のお茶を用意しながら私はソファでくつろぐ2人に聞いた。












「お前のことだ」

「えっ?」

「本気で・・・行くつもりか?」












お茶を2人の前に置くと小さく頷いた。




















―――








「ねぇ・・・蓮二。話があるの」

「なんだ?」








―――




















「両親に・・・会いに行こうと思う。親戚から聞いて居場所もわかったし」

・・・」

「みんなには黙って行くつもり。心配されちゃうから」

「そうか・・・」












蓮二と貞治はお茶を一口飲むと同時に溜め息をついた。












「行くな・・・っと言いたいが。どうせ止めても行くんだろ。お前は昔からそうだったからな」

「ごめん・・・」












スッと伸びた蓮二の手が私の頬に触れ、顔を上げると優しい笑顔が向けられた。












「謝ることじゃない。 がここまで変わってくれて・・・俺達は嬉しい」

「あぁ。そうだな」












寂しくて泣き出しそうな顔じゃなくて・・・
春が来るのを待っている儚い花ような・・・真っ直ぐで綺麗な瞳。















「ありがとう。蓮二、貞治」















蓮二の手が離れると貞治が家の中を見回しながら聞いた。












「それで、出発はいつなんだ?家の中がだいぶ片づけられているようだが・・・」



「明日・・・行こうと思う」












その言葉に2人は固まった。















「明日・・・?」

「うん」

「お前はまた・・・どうして、そう急なんだ!」

「まさか俺達にも黙って行くつもりで!!」

「ごめん!本当にごめん!!でもお願い!!」












私は顔の前で両手の手の平を重ねると必死に説得した。














「決めたの!決着はつけなきゃって。今のままズルズル昔のことを引きずったままじゃ
 私は変われない・・・変わりたい!そのためには両親と話をしてけじめをつけたいの!!」















しばらくの間静寂に包まれ、私の心臓はドキドキとうるさくなっていった。















「ハァ・・・」















蓮二と貞治、どちらかの溜め息に顔を上げると蓮二にクシャと髪を撫でられた。












「誰があいつらを説得すると思ってるんだ」

「ごめん・・・」

「まぁ、仕方ないな。いつかは行くと思ってたよ」












貞治はそう言うと私に何かを差し出した。












「俺達は一緒に行けない。だから・・・これをお前に渡しておく」












受けとるとそれは学校で が全員に囲まれながら笑っている写真だった。












「これ!いつの間に!?」

「貞治に頼んで撮ってもらった。忘れるなよ」















蓮二は1回言葉を切った。

















「お前は1人じゃない。俺達がいる」





「何かあったら、いつでも連絡してくるといい」

















ずっと私を見ていてくれた・・・


ずっと私を支えてくれた・・・


この2人がいてくれて本当によかった・・・。















私はその時、不安を全て決心に変えた。















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

自分を大事にしてくれる仲間に出会えた。

だからこそ。けじめはつけなければならない。

過去と向き合うのは怖いけど・・・。

もう大丈夫。

だって待っていてくれる人達がいるから。







2008.2.14