瓦礫の中に見つけた光は


やがて小さな新緑となり


新しい始まりに胸を張る








No.37
    『Fade』








長いようで短かった合宿は幕を閉じ・・・
最終日の今日は午前中で練習を切り上げて昼間からバタバタと準備が行われていた。








何の準備かというと・・・。













「おいっ!肉こんなんじゃ全然足りねぇだろぃ!!」

「花火ももっと買いましょーよ!!」













丘を降りたところにあるスーパーで私と柳生vsブン太と赤也は激しく討論を繰り返していた。








「こう言ってますけど・・・予算の方は大丈夫なんですか? さん」

「厳しいかな。デザートのケーキと巨大打ち上げ花火を止めれば買い足しできるけど?」








その言葉にブン太と赤也は過敏に反応し、同時に首を横に振った。








「ケーキは絶対に外せねぇ!!」

「これ打ち上げなきゃ締まんないっスよ!!」

「じゃあ、これで買い物終了っと」








念のために言っておくが・・・すでに買い物カゴの中には大量の飲み物や食糧
そして花火があるのだから足りなくなることは無いだろう。








「それにしても最終日にバーベキューと花火大会なんて、真田副部長がよくOKしましたねー」

「だって幸村に味方してもらったもーん」

「なるほど・・・」








パンパンになった買い物袋を手に持ってペンションへと戻る。








「ただいまぁー!!」

「おかえり。わぁ、ずいぶんいっぱい買ってきたね」

「この2人のおかげでね」








幸村はその言葉に困ったような笑顔を浮かべた。








真田、ジャッカル、仁王はバーベキューの準備を。
幸村、蓮二は机やイスを外に出して私達が買ってきたものを並べた。








「じゃあ私、野菜切ってくるね」

「あぁ。頼むよ」








野菜とフルーツの入った袋を持ってキッチンへ行くと、素早くエプロンを着用し野菜を切り始めた。
育ち盛りな男子と言えど野菜も取ってもらわなければマネージャー失格だ。
















ガチャ。








先輩ー!」

「赤也!どうしたの?」

「へへっ。ちょっとつまみ食いしに♪」

「残念でした。野菜しかありませんよー」








私はクスッと小さく笑うと再び赤也に背を向けて手を動かした。
赤也が近付いてくるのを何となく感じた。













先輩・・・勝手にしゃべるから、そのまま聞いて」






「えっ?」













手を止めた。

次の瞬間、フワッと後ろから赤也に優しく抱き寄せられ、同時に赤也の頭が肩の上に置かれた。








「初めて 先輩に会った時は、すっげぇ冷めてる感じでちょっと恐かった。
 けど、今は違う。守ってやりたいって言うか・・・目が離せないって言うか、不思議な感じ」






「赤也・・・?」






「人の心配ばっかして自分を顧みなくて、真っ直ぐな 先輩にだんだん皆が惹かれてって
 気付いたら俺もその1人で・・・昨日、 先輩が泣いて俺達に話してくれた時もう我慢出来なくなっちまった」








赤也は・・・消えそうな声で私の耳元で囁いた。
















「好き。 先輩のこと・・・すっげぇ好き」
















背中に赤也の体温・・・回された腕には赤也の力強さを感じ
私の心臓の音はどんどん激しさを増していった。








「あ、赤也・・・私」



「返事とかは・・・まだいいっスよ」








言葉とは裏腹に抱き締める腕に力が入る。
振り返ると赤也の指が私の顎を捕えて、グッと上を向かされた。



同時に赤也の顔は、お互いの呼吸がわかるほど近くにあった。
















「俺は・・・ただの可愛い後輩なんスよね・・・?」













赤也の目が、一瞬悲しそうにウルんだように見えたのは・・・私の気のせいだろうか。
















「なーんちゃって!!」



「・・・へっ!?」








スッと私を離すと、赤也はキッチンから出て行こうと私に背を向けた。








「あ、赤也!?」

「今のは予行練習ですよ!あれ?まさかキスしてほしかったんスか? 先輩」








クルッと振り向くと赤也はニィッと悪戯っぽく笑った。








「なっ、なにを言って・・・!!」

「でも、覚悟しといて下さいよ?いつか 先輩には俺のこと好きにさせて
 そうしたらまた告白します。その時は・・・返事聞かせてくださいね」













バタンッ!!













赤也が出て行って1人になった私は、苦しくなった胸をギュッと抑えた。
目には、悲しみではなく嬉しさから溢れ出す涙が浮かんでいた。
















「好きって言ってくれて、ありがとう・・・赤也」





































「あれま。先を越されたのぅ」



「仁王先輩っ・・・!!」








キッチンを出てすぐ、廊下でバッタリ仁王と出くわした赤也。
今の口ぶりだと、赤也がさっき何をしていたのか知っているといった感じだ。
赤也は焦りを顔に出していた。








「ま、まさかずっと見て!?」

「見とらん。見とらん。けど、お前さんの顔を見れば大概わかる」








赤也はグッと唇を噛んだ。








「まぁ、そう怒りなさんな。邪魔したわけでもないじゃろ?
 あ、別に譲る気があるわけじゃないきに勘違いするんじゃなかよ?」








ニヤッと、何か企んでいるような笑みを浮かべると仁王は赤也を指差した。








「俺は俺のやり方でやらせてもらうけぇ・・・遠慮なんかするんじゃなかよ?」








ベーッ。と舌を出すと仁王は先に外へ出ていった。













「・・・当然っスよ」













赤也もまた、ニヤッと小さく口元を吊り上げると、バーベキューの準備をするために外へ出ていったのだった。















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

うをぉお・・・!!赤也ぁぁぁ(何?)

自分で書いといてなんか・・・。

赤也ぁぁぁ!!!(だから何!?)

赤也とヒロインだけの続編って書いてみたくなりました。







2008.2.12