冷たい涙を流すより・・・


温かい涙を流そう・・・


冷たい涙に次はない・・・


温かい涙は・・・


きっと次の道を教えてくれる・・・。








No.34
    『Fade』








「もう・・・ほっといて」










冷たい雨は容赦なく、天から地上に降り注ぐ。
まるで・・・皆の代わりに泣いているようだ・・・。















「ほっとけるわけ・・・ないだろ」















長い長い沈黙を破ったのは、悲しそうな顔をした柳だった。










「お前は何も分かっていないようだな・・・
 今ここでお前が俺達の目の前から消えたとして、誰が喜ぶ!!」










自然と声が大きくなる。










「いつ、誰がお前の存在に不満を感じた!?お前が好きだから・・・
 全員 のことが好きだから、今まで一緒にやってきたんだろ!!」










「柳が・・・」

「・・あんなに怒鳴るの初めて見た」










「直也のことで・・・お前が責任を感じているのも分かってる。
 だからマネージャーにしたんだ。この中でなら・・・お前は変われる」










変われる・・・。 の中で何かが動いた気がした。




















―――  はどうして自分を大事にしないんだ!!

      そう言って叱ってくれた幸村。










――― 心配なんだ・・・無理されると。

      初めてそう言ってくれた真田。










―――  さんに、笑っていただきたいからですよ。

      いつもそう言って優しくしてくれた柳生。










―――  って笑うと、すっげぇいい顔すんのな!!

      私の笑顔を褒めてくれたブン太。










――― 寂しくねぇ?一匹狼って・・・。

      誰かと一緒にいる心地よさに気付かせてくれたジャッカル。










――― 1人で無理しないで、誰かに助けてもらいましょうよ。

      誰かに頼るという事を教えてくれた赤也。










――― 本気で・・・ のこと好いとぉかもしれん。

      素直になる事を考えさせられた仁王。













そして・・・。













――― 早く昔の に・・・戻ってほしい。

      1番、私の側で支え続けてくれた・・・蓮二。















この中でなら・・・私は本当に変われる?




















「・・・れる、かな?」





「えっ?」

「変われる・・・かな?私は・・・本当に」




















本当は、ずっと怖かった。


本当は、こんな自分大嫌いだった。


本当は、変わりたかった。


本当は・・・誰かに側にいてほしかった。















「あぁ・・・大丈夫だ」















本当は・・・ただ一言「大丈夫」っと言って、手を握ってほしかっただけなんだ・・・。


















「ありがとう・・・」















私の瞳からスーッと静かに涙が伝い、それは止まることなく・・・雨と共に流れ続けた。










まるで・・・今までの苦しみを洗い流すかのように・・・。















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

本当は変わりたかった。

でも怖かった。

あの日。あの時。

みんなと出会えたことが

私にとっての「瞬間」だった。







2008.2.9