氷が溶ければ水になる。
冬が終われば春になる。
冷たい心もいつの日か。
変わる時が、来るのだろうか・・・。
No.18 『Fade』
「そーいえば最近会ってないなぁ」
「いい機会だ。会ってきたらどうだ?」
「うん。行ってくるね」
今日は休日。
しかしテニス部は朝からいつも通りの練習が行われていた。
「あれっ?なぁ!
は?」
休憩をしていたブン太は忙しく走り回っているはずのマネージャーがいないことに気付いた。
「あぁ、
なら今日の部活に遅刻してくるそうだ」
「なんでなん?」
「用事があるんだって」
「「「用事?」」」
「そ♪」
幸村がニッコリと笑って答えた。
「青学にね。」
そのころ
は青学の中で呆然と立ち尽くしていた。
「しまった・・・」
の表情は暗い。
「迷った・・・?」
今日の空は晴れていた。
「迷ったぁー!ここどこ!?テニスコートはどこー!!?」
キョロキョロと周りを見渡す姿は結構怪しい。
それも立海の制服を着ているから尚更だった。
「このまま帰れなくなったらどうしよ・・・」
顔色がさらに悪くなったその時、
の眼はテニスバッグを背負った男子生徒を見つけた。
「越前の奴がまだだな?」
「また遅刻じゃないっスかー?それともまだ寝てるとか!!」
「ありえるね。あの越前なら」
「にゃー!乾!そのドリンクはまさか!?」
「新作。なんだ菊丸・・・そんなに飲みたいか。これ」
「飲みたくない!飲みたくない!!」
首を左右にブンブン振りながら菊丸が叫ぶと、
隣にいた桃城が乾の後ろを指差しながら叫んだ。
「い、乾先輩!後ろ!!」
「えっ?」
ガバーッ!!
「なっ!?」
いきなり後ろから抱き付かれた乾は体勢を崩しながらもなんとか持ち直し
首だけ後ろを振り返った。
「貞治ー♪」
「
・・・!!?」
後ろにいた思わぬ人物に一瞬言葉を失ったが、ゆっくり向き直ると
乾は
の存在を確かめるように頬に手を置いた。
「
・・・か?」
「うん。久しぶりだね・・・貞治」
「あぁ。久しぶりだな」
乾はやわらかく笑うと
の漆黒色の髪を優しく撫でた。
はくすぐったそうに笑っていた。
「あのー・・・乾に質問ー」
「あ、俺も俺も」
並んで手を上げる菊丸と桃城に乾は顔だけ向けると「なんだ?」っと、実に平然と答えた。
「その子ってさ・・・乾とどんな関係?」
「なんかラブラブっぽいじゃないっスかぁ?」
「越前。誰だい?」
「知らないっス。なんか来る途中で捕まった」
少し後ろで様子を窺っていた越前が同じように乾に目を向けた。
っと言うか青学メンバー全員の眼が2人に集中していた。
「だからさ、乾とこの子はどういう・・・」
「あぁ。俺達は恋人同士なんだ」
「あ、なんだー恋人かぁ!!恋人・・・」
「「「えぇええー!!?」」」
「嘘だ。(キッパリ)」
嘘だった。
全員のリアクションをノートに記録する乾の横で
が必死に笑いを堪えていた。
「ほ、本気で驚いた・・・」
「ごめんね。貞治に会うのも久しぶりだったからつい。私は
・・・貞治の幼馴染みだよ」
「へぇ!乾に幼馴染みなんていたんだー!!」
「制服を見ると・・・立海だね?」
「そ。立海の3年」
「立海の柳蓮二は知ってるだろ。こいつは蓮二の従兄弟なんだ。
俺達も小さい頃よく遊んでて・・・なぁ、
」
振り返ると乾は
の長い黒髪をいじりながら表情を変えずに言った。
「お前・・・学校に出るようになったのか?」
「・・・うん」
「蓮二も一緒だな?」
「うん。」
「じゃあ、寂しくないな」
「子供扱いしないで。大丈夫だから」
眼を細める
に乾も小さく笑みを返すといじっていた髪をクシャと乱した。
「今日お前はなぜ青学に?」
「蓮二に言われたの。「貞治に顔見せてこい」って・・・あとテニス部の偵察!」
「偵察?」
「うん。練習の様子をこっそりビデオに撮ってこいって言われて来たの」
スチャ!っとビデオを取り出すと全員呆然と
を見つめた。
「
さん・・・偵察の意味ってわかってる?」
「へっ?」
「スパイが堂々と名乗っちゃったっスね」
「あははは!!この子面白いにゃー!!」
PiPiPiPi・・・。
「もしもし?あぁ貞治か」
「蓮二。お前のとこのスパイが来たぞ。任務を堂々と宣言してな」
「やっぱりあいつに黙秘任務は無理か。どうだ?久しぶりに会って」
「あぁ。安心したよ・・・」
「そうか。」
「ところで蓮二・・・」
「なんだ?」
「青学に
を迎えに来い」
「なんで?」
「こっちの連中が
を気に入ったらしく離そうとしない。それに・・・」
たっぷり間をおいて乾は溜息混じりに決め手の一言を言った。
「
が迷わずに立海まで帰れると思うか?」
「思わないな」
2人の間でそんな会話が交わされていたとは知らず、
は青学のメンバーと意気投合したのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
蓮二と乾のペアは好きです。
2人があんだけ仲良いんだったら
そりゃあ乾とも絡ませなければ!!!
っと、書いてみました。
2007.4.13