笑顔の裏に見えるモノ。
それは悲しみ？それとも怒り？
誰も入り込めない闇？
Ｎｏ．１５ 『Ｆａｄｅ』
「
先輩！
センパーイ！！」
ダダダダッ・・・！！！
「あ、おはよー。仁王」
「おはよーさん。朝から大変じゃのぅ
？」
「まぁね、私がここにいることは内緒にしてね」
「了解。」
仁王は指でＯＫサインを出すとこちらに向かって走ってくる赤也に目を向けた。
バタバタバタッ！！！
「あ！仁王先輩！
先輩知りません？」
「
？そーいや・・・さっき向こうに走って行くの見たかもしれんのぅ」
「マジっスか！？ありがとうございましたー！！」
赤也はそれを聞くとあっという間にその場から走り去っていった。
「・・・ん。もうよかよ
」
「ありがとう。恩に着るわ詐欺師仁王くん」
「そら、どーも・・・。教室まで一緒に行かん？」
「うん！」
もう後ろから赤也が来ないことを確認すると仁王と肩を並べて歩き始めた。
「赤也の奴・・・いきなり
に懐いたんじゃなか？」
「かな。ちょっと色々あってさ・・・あいつなりに心配してくれてるのかも・・・」
「色々ってなんね？」
「内緒。」
そう言うと
はフワッと嬉しそうに笑った。
「また・・・」
「ん？なーに？」
「いや、なんでもなか」
笑顔を返すと
と別れて俺は自分のクラスに入っていった。
の奴・・・いつからあんなに柔らかく笑うようになったん？
前の
はもっと・・・冷たくて、孤独で、誰も寄せ付けんキツい眼で俺らを睨みよったんに・・・。
「ま、俺には関係なか」
席に座るなり満面の笑顔で話かけてくるウザイ女達を適当に相手しながら溜息をついた。
なぜだろう。
さっきから頭には
の笑顔ばかりが浮かんでいた・・・。
キーンコーンカーンコーン・・・。
「やった！お昼ご飯だぁ」
疲れたぁー・・・サボろうと思ったら目の前に蓮二が怖い顔して立ってるんだもん・・・
久しぶりに全授業に参加した気がする・・・。
「今日は真面目だったようだな。
」
「だって蓮二が監視してるんだもん・・・ストーカー罪で警察に通報してやる」
「やれるもんならやってみろ」
ム・カ・ツ・ク・！！
本当に通報してやろうか！！
ガタンッ。
「どこに行くんだ？裏庭か？」
「ううん。今日は天気いいから屋上で食べる！じゃあね」
蓮二に手を振って教室を出ると、お弁当片手に屋上へ続く階段をのぼった。
途中、あの日・・・停電になった暗闇の中で赤也に抱き付いたことを思い出し
頭を激しく横に振った。
「あー・・・恥ずかしい・・・」
我ながらあんな姿を見せるなんて一生の不覚・・・。
それにしても、抱き付いたときの赤也の慌てよう。
思わず吹き出してしまい声を出さずに笑った。
しまった。
これじゃただの変な人だ。
「１人で何やってんだ・・・私は」
溜め息をつきながら屋上へのドアに手を掛けた・・・そのときだった。
「何それ！信じらんない！！」
女の大声がドア越しに響いてきて
は思わず手を止めて固まった。
声は尚聞こえてくる。
「他にも付き合ってた女がいたって本当だったの！？」
「うわー・・・別れ話かな？嫌な時に来ちゃったなぁ」
諦めて帰ろうかな・・・。
「あぁ。まぁ・・・」
「ふざけないでよ！浮気なんて最低！！」
女の声がさらに大きくなったのとは裏腹に、彼氏らしき男は冷たい口調で話始めた。
「おかしなこと言いよるのぅ・・・。俺が何したん？」
えっ・・・？
まさか叫んでる女の彼氏って・・・。
「はぁ！？私と付き合っていながら他の女と遊んだんでしょ！！」
「俺がいつお前なんかと付き合うた？勝手に勘違いしとるだけじゃろ」
「なっ・・・！！？」
女の声が詰まる。
その時、私はドアに手をついて盛大に溜め息をついた。
「よりにもよって・・・仁王か・・・」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
はいはいはい！！
お次は詐欺師仁王くん。
赤也と同じく前編・後編になっちまった・・・（涙）
つーことで次回は後編参ります！！！
２００７．１．６