欲しいものは何?


あなたはそれを手に入れるためなら


何かを失ってもいいの?








No.9    『Fade』








「じゃあ10分間休憩いれまーす!!」






コートに向かって叫ぶと、 はタオルとドリンクを持ってレギュラーのもとへ急いだ。










「はい。赤也」
「疲れたー!!」

「はい。ブン太」
「サンキュー!!」

。俺にも」
「はい。仁王」






1人1人手渡しで配っていき、最後に真田のもとへ向かった。








「はい。真田」
「あぁ・・・悪いが、そこに置いておいてくれ」
「へっ?」






そう言うと真田はボールを握り締め再びコートに立とうとした。






「ちょっ!真田!!今は休憩中でしょ!?」
はあいつらと休んでろ。俺はもう少し・・・」

「ダメだよ!さっきから赤也達の倍はOBと試合してるじゃない!!
 それも休みなしに連続で!!」






真田は動きを止め、少し驚いた様子で を見つめた。






「・・・見てたのか?」

「マネージャーですからね。あのね真田・・・
 無理をすれば結果がついてくるとは限らないの。努力と無茶は別物だよ」

「俺はこの部の副部長だ。全国へ行くのに俺が不甲斐ない試合をしたら部員に示しがつかん!」
「だからって無理して体が先に壊れたらどうするの!!」
「俺はそんなに弱くない。それにマネージャーのお前に口出しされる覚えはない!!」

「そーですか!!じゃあ真田は自分以外、練習を真面目にやらない
 甘ったれた奴等だって思ってるのね!!」










「お、おいおい・・・真田と の奴が喧嘩してるぜぃ?」
「うわー! 先輩勇気あるぅ!!」
「止めた方がよか?」






「待って」






止めに入ろうとした仁王の肩を幸村がつかんだ。






「もう少し見てみよう」















「だいたい俺はお前みたいな奴がマネージャーをやること自体反対だったんだ!!
 聞けば今までずっと登校を拒否していたそうだな・・・
 そんな奴に部員を支えるマネージャーなんかつとまるか!!」






真田が声を上げると はスッと目を閉じた。






「否定は・・・しない。真田の言う通りだよ」
「・・・っ?」
「私は今まで平気で人を傷付けてきた・・・こんな自分大っ嫌いだよ」






でも・・・っと は顔を上げ、あの鋭い瞳が真田を捕らえた。






「だったら私は真田が副部長をやっていることに反対するよ。
 部活のためとか言って心配してる人達の気持ちなんか平気で無視する・・・
 全国制覇が大切なのもわかる!でも心配してくれる人達の姿もちゃんと見て!!」










誰かのために自分の身を削るのなら・・・せめて心配している者の話を聞いてほしい。


あなたが誰かのことを思うのと同じく、誰かはあなたのことを思ってる。










「部活のために・・・部員のために。もっと自分を大切にして?真田」










「そうだよ。真田」






の後ろから幸村が顔を出し、続いてレギュラー全員が集まった。






「俺も に一票」

「俺たちだって弱くない・・・」

「君1人に負担はかけませんよ」

「やる時やって、休む時は休みんしゃい」






差し出されたタオルとドリンクを受け取ると真田はフッと口を緩めた。






「ね?みんな頑張ってるから」



「あぁ・・・そうだな」















その後練習が再開され、スコアを記録していた の背後に真田が歩み寄った。






。」
「うぉ!?ビックリしたぁ。何?真田」





「さっきは・・・悪かった」





「へっ?」
「それだけだ。引き続き仕事を頼む」








頭の上に疑問符を浮かべる を置いて、真田はコートのフェンスに寄り掛かり
ゆっくり息を吐いた。






するとそこへヒョコと笑顔の幸村が顔を出した。








「やっ♪真田」
「幸村・・・」


「まだ気に入らない?新しいマネージャーは」
「いや・・・」










さすがと言うべきか。


目利きだな・・・幸村。










「今後が楽しみだ」


「そう。良かった」
















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お次は真田との絡みでしたー。

真田は厳しい反面責任感がありすぎて

自分に無理させすぎていないかと心配です。







2006.9.16