孤独な瞳をしていた君・・・。


綺麗に笑ってくれた君・・・。


貴方が気付かせてくれたお陰なんだよ。













No.16    『相棒と自信』













「おっ。ジャッカル!ちょっとスーパー寄ってこうぜぃ」
「はっ?あぁ・・・ガムでも切れたのか」
「あったりー!行くぜぃ!!」










元気よく駆けていくブン太を見ながらジャッカルは
仕方なそうに笑い、後を追って近くのスーパーに入って行った。










「お前なんで部活終わったばっかなのに、そんな元気有り余ってんだよ」
「天才だから?」
「だったら、たまには守備に回ったって・・・」



「あれ?ブン太にジャッカル!!」










振り返ると私服姿の が買い物カゴを持って手を振っていた。










!!」
「部活帰り?」
「あぁ。 は?」
「夕飯の買い物でーす」










ニッコリ笑いながら歩み寄る
ブン太はそんな の買い物カゴを覗き込むとパッ!と顔を上げた。










!もしかして今日カレー!?」
「うわっ!さすがブン太!材料だけで料理名を当てた!?」
「お前、今から帰って夕飯作るのかよ?だいぶ遅いな」

「あ、今日テニススクールに行ってて遅くなっちゃったの。
 だから簡単なカレーにしようと思って」

「「テニススクール?」」










ブン太とジャッカルの声が綺麗に重なり、 は首を傾げた。










「えっ。なに?」
「何もされなかったか!?」
「だ、誰に?」
「柳に報告だな・・・」










それから3人は一緒にレジを済ませ、スーパーを出た。










「あー。 のカレーかぁ・・・うまいんだよなぁ」
「そういえば中学生のとき、全員で私ん家に押し寄せて来たよね」
「あぁ。あの時か、 のカレー食ったの」










ブン太はガムを膨らませながら、おもむろに の服をつかんだ。










!家まで送ってやろうか?」
「えっ?なんで」
「なんでって・・・あ、危ねぇだろぃ?もう暗いし」
「心配してくれてるの?ありがと!でも大丈夫。すぐそこだから」
「あー。そう」
「じゃあね!ブン太。ジャッカル」










笑いながら手を振る を見送りながら、ブン太は溜め息をついた。










「残念だったなー。送ってやれなくて」
「な、なにがだよ」










ジャッカルの意味ありげな言葉に、ブン太は軽く睨みつけた。










「本当の目的は の安全じゃなくて、一緒に帰ることだったんじゃねーの?」










ニヤッ。と意地悪な笑みを向けるジャッカルに、ブン太は目を見開いた。










「おまっ・・・!?なんで!!」
「気付いてないとでも思ったのかよ?だいたい分かりやすいんだよ。お前は」










カァッ!と顔に熱が広がる感覚に焦ったブン太は、今が暗くてよかったと心から思った。










「好きなのか? が」
「・・・わかんねぇよ。ただ・・・」
「ただ?」



「ほっとけねぇ・・・」















初めて出会った時のあの孤独な瞳も・・・

初めて綺麗に笑って見せてくれたあの笑顔も・・・

初めて見せたあいつの涙も・・・全部覚えてる。

全部全部覚えてる。

あいつを1人にすることが凄く怖かった・・・

あいつから目を離すことが凄く不安だった・・・。



いつか・・・静かに消えていなくなっちまうんじゃないかって。



情けねぇけど・・・本気で思った。















「ほっとけねぇんだよ・・・」










次第に声が小さくなっていくブン太の頭を、ジャッカルは叩くように殴った。










バシッ!!










いって!何すんだよ!?」

「らしくねぇな」
「はぁ!!?」

「お前らしくねぇって言ったんだ。何だよそのしょげた顔。お前が暗くなってどうすんだよ」










ブン太は叩かれた頭を撫でながらムスッと唇を尖らせた。










「好きなら好きって、腹括れよ!怖がってて1歩引いたままじゃ・・・
 本当にいつか はお前の前から消えるかもしんねぇぞ!?」










ジャッカルの一喝に、ブン太は唖然とした。










「分かってんだろ?今でも俺達は、 の気持ち全部を知ったわけじゃない・・・。
 もしかしたら、あいつはまだ何かを抱えてんのかもしれねぇ・・・」

「それは・・・たまに俺も思う」

「本当に好きなら・・・ほっとけねぇなら・・・
  のために何をしてやれるか考えて、動けばいいだろ」

「あっ・・・」










ジャッカルの言葉に衝撃を受けたブン太は足を止めた。










「ブン太?」

「ハンッ!そんなこと分かってら!ジャッカルのくせに生意気言ってんなよ!!」

「・・・そーかよ」










笑顔のブン太を見て、ジャッカルも安心したように笑みを浮かべた。





分かれ道でお互い挨拶を交わすと、後ろからブン太が大声でジャッカルを呼び止めた。










「おーい!ジャッカルー!!」

「あー?」





「サンキューなー!!」










それだけ言うと、ブン太は走ってその場を去って行った。















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

さて、腹を括ったブン太くん。

しかしライバルは・・・多そうですね。

これから、どういった展開になっていくのか。

管理人も、楽しみです。

ところでヒロインちゃんのカレー、俺も食べたいんですけど(知らん)







2009.9.20