1人が楽だと言った君・・・。


仲間の大切さに気付いた君・・・。


すべては貴方が教えてくれたの。













No.15    『察知と処置』













「問題です。なぜ私は今、ジャッカルの影に隠れているのでしょう?」
「あー?さっき廊下をブン太と赤也が横切って行ったから・・・2人に追われて逃げてきたとか?」
「ピンポーン」
「勘弁しろよ。俺逃亡者かくまってることになるじゃねーか」
「共犯者になろうよ」
「ふざけんなって」

「あっ、ヤバッ!」










が慌ててベランダに逃げたと同時に、ブン太と赤也がやってきた。










「なーなージャッカル。 見てねー?」
がどうかしたのか?」
「今日のお昼一緒に購買行きましょうって誘ったら逃げたんスよ」
「俺は見てねぇよ」
「だと思ったぜぃ」
「じゃあ聞くなよ」
先輩見かけたら教えて下さいねー!!」










それだけ言い残して去っていく2人を見送ってから、ジャッカルはベランダの扉を叩いた。










「もういいぜ」
「ありがとう。だからジャッカル好き!」
「へいへい」










仕方ないように笑うと、 はジャッカルの机の上に座った。










「何で購買誘われたくらいで逃げんだ?」
「あの購買戦争の中には2度と入らないって誓ったの」
「ふーん?じゃあ何であの2人は急に を購買になんて誘ってんだ?」
「女子生徒限定販売のスイーツあるでしょ?あれを私に買わせようとしてるのよ」
「あー。あれな!納得納得」
「今はまだいいけど次の授業が終わったら昼休みだよ。逃げ切れるかなぁ・・・」










ハァ・・・。と が大きく息を吐くとジャッカルはニッと悪戯な笑みを浮かべた。










「じゃあよ!
「ん?」










「昼休み、俺とデートする?」































「ホラッ。大収穫だ」
「わぁー!!」










ジャッカルは両手いっぱいに菓子パンやジュースを抱えながら得意げに笑った。










「好きなの食えよ。ここなら誰も来ねぇし・・・ゆっくり食えるだろ?」
「さすがジャッカル!あいつらから逃げるために、隠れ家や逃げ道は知り尽くしてるってわけね?」
「・・・まぁな・・・」
「ジャッカルとこうして2人でご飯食べるのも・・・久しぶりだなぁ」










優しい風が の髪を揺らす。
急に黙り込んでしまった にジャッカルは首を傾げた。










「どうした?」
「えっ?」
「ボーッとしてよ。あっ!もしかして好きなやつなかったか?」
「あ、いや!そうじゃなくて!なんかね、黄昏れてた」
「はぁ?何だよそれ」










笑うジャッカルにつられて、 も笑みを浮かべた。










「なんでかな?自分でも今気付いたんだけど・・・なんか、今すごくホッとしてる」

「えっ?」










振り返り見ると、 が眩しそうに空を見上げていた。

その姿はあまりに不安定で、儚げで・・・
ジャッカルは思わず手を伸ばして、その存在を確かめようとした。










「ん?」
「あっ・・・悪ぃ」










慌てて手を引っこめるジャッカルに はクスッと笑った。










「どうしたの?変なジャッカル」
「あのよ・・・ 。お前、無理してね?」
「えっ・・・?」
「俺達の前じゃ、お前はいつも明るい。でも・・・本当は何か悩みでもあるんじゃねぇか?」















ジャッカルの怖い所は、この鋭さと観察力。

どれだけ隠しても、周りには気付かれなくても。

一瞬でも油断するとすぐに見抜かれる。















鋭い目付きに、 はビクッと体を震わせた。










「ちょ、ちょっと待ってよ!無いよ悩みなんか。何で急に・・・」

「お前は、俺達に心配かけまいと無意識に元気ぶるからな。
 まぁ・・・人は誰しもやるんだろうけど。そのうち疲れが溜まってくるぞ?今みたいに」










は動揺しているようだった。
表情がだんだん不安そうなものに変わっていく。










「何だよ。難しいこと言ってねぇだろ?俺達の前ではわざと明るくしたり
 元気ぶったりしないで・・・ありのままの でいろって言ってるだけなんだからよ」

「ありのまま・・・?」
「ん。そっちの方が・・・俺は好きだ」










とジャッカルは同時にお互いと目を合わせると、しばらく笑い合った。















昼食も終え、教室へ帰る途中・・・ は静かに口を開いた。










「ありのままの自分を出すって・・・簡単かな?」
「お前次第だな。まずは俺に何でも話してみるってのはどうだ?」
「えっ?」
「感じた事、悩んだ事、嫌だった事・・・何でも俺に言えよ。それで一緒に考えようぜ」
「そうすると?」

「お前の悩みは俺と分け合ったから半分になる。
 もちろん俺が悩んだ時はお前が半分、俺の悩みを軽くする」

「言ってる意味がよく分からない」
「つまり、だ」










ジャッカルは優しく微笑むと の頭をポンポンと叩いた。










「1人で悩まねぇで俺に言えってこと」















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うちのジャッカル君はお兄ちゃん設定です。

もー。妹・弟大好きで面倒見がいいお兄ちゃんです。

サラッ。と告白っぽいことしてますが、これは

恋愛感情とかではなく、妹に対する愛情です。

あっ!でも決してシスコンでは(もういい)







2009.8.24