ずっと・・・。
ずっと・・・この時間が続けばいいのに。
そう思った瞬間が、確かにあった・・・。
No.10 『可愛い嫉妬』
「あの・・・蓮二?」
「なんだ」
「怖いんですけど・・・」
ここはテニスコートの近くに設置されている憩いの場。
お昼休みとなり、テニス部のレギュラーメンバーと
は、柔らかい芝生の上に
腰を下ろして昼食を取っていた。
そんな中、柳は
に詰め寄るように思いっきり顔を睨み付けている。
「どうしたんスか?柳先輩」
「
が昨日テニススクールに行った話をしててよ。ルドルフの観月、不二に会ったんだと」
「マジで?」
ジャッカルが軽く説明をすると、仁王が柳の肩をつかみ制止した。
「まぁまぁ。参謀・・・その辺にしときんしゃい」
「そーだよ。
怖がってるだろぃ?」
「こいつが悪い。呆れてものも言えないな」
「なっ・・・!?だから何でそんなに怒るのよ!私何も喋ってないよ!?」
怒る・・・というより柳は拗ねたような表情で
に冷たくあたっているようだ。
「珍しいね。柳があんなに拗ねるなんて・・・」
「蓮二。空気が重くなる・・・何があったか話せ」
「そうですよ。
さんが困っていますよ?」
幸村と真田の言葉は効いたのか・・・。
柳は「ハァッ・・・」と溜め息をつくと
に目も合わせずに言った。
「
。さっき俺にした話をこいつらにもしろ」
「えっ?昨日のこと?」
柳が小さく頷いたのを見て、全員の視線が
に向いた。
「き、昨日・・・テニススクールに行ったの。そこでルドルフの観月さんと裕太くんに会って・・・勧誘された」
「勧誘されたんスか!?」
「えっ?うん」
赤也はそれを聞くと「あちゃー」っと頭を抱えた。
「断ったら・・・「気に入った」って言われて、これからも一緒にテニスしてくれるって」
「「「はぁ!?」」」
その言葉には全員が声を上げた。
「それ・・・確実に
を狙っての発言じゃな」
「えっ?」
「で!なんて返事したんだよ!?」
「ありがとうございます!って」
ハァッ・・・。
その瞬間には全員が溜息をもらした。
「やっぱり・・・」
「まぁ、危害はなさそうだし。大丈夫じゃね?」
「で?何で柳は不機嫌なわけ?」
柳に話を戻しながら全員食事を再開すると、今だに拗ねた顔の柳が顔を上げた。
「
・・・。帰る時に観月に何て言われて、何をされたんだ?」
「えっ?えっと・・・「また貴方に会えることを心待ちにしていますよ」って言われて・・・手にキスされた」
「「「ッ・・・!!!」」」
ブン太は飲んでいたジュースを噴き、仁王は持っていた菓子パンを無言で握り潰した。
赤也は「へぇ・・・」と言いながら軽く目が吊っている。
「その無防備さがいけないんだ。油断して襲われでもしたらどうするんだ」
「ないよ!!」
ないない!っと強く否定する
と、まるでヤキモチでも妬いているような
柳の態度に・・・幸村は小さく笑った。
「本当に・・・困った子だね。
は」
「まったくだな」
「
先輩・・・俺ちょっとそいつ潰してきますよ」
「えっ!なんで!?」
「てか行動が柳生に似てねぇ?」
「柳生。もう
に近付くんじゃなかよ」
「一緒にしないでください。どちらかと言えば仁王くんの方が危険ですよ」
いつもと変わらない昼下がり・・・。
はこの瞬間に確かな幸せを感じていた。
■
キーンコーンカーンコーン。
「ふわぁ。食後って眠くなると思わない?蓮二」
「寝るなよ」
「特に今日は暖かくて睡魔がさ?」
「その時点で俺のシャーペンが飛んでくると思え」
「スミマセン・・・」
午後の授業が始まると同時に、
達は着席し担任の到着を待った。
ガラッ!!
「座れー。今日は文化祭に向けての決定事項を色々相談していくぞー!!」
「文化祭?」
「あぁ。もうそんな季節か」
「最初に、文化祭を仕切る運営委員を男女1名ずつ決める。誰か立候補したい奴はいるかー?」
文化祭を全て仕切る運営委員なんていったら、その忙しさは目に見えている。
いくら担任が促しても誰1人として手を上げないまま時間が過ぎていった。
「
。お前暇だろ?」
「嫌だよ。運営委員なんてやったら毎日忙しくてテニススクール
行けなくなっちゃうじゃない。せっかく観月さんや裕太と仲良くなったのに」
「そうか・・・」
「そうだよ」
次の瞬間・・・柳が高々と手を上げて全員の注目を集めた。
「先生」
「なんだ?柳」
「俺と
さんで運営委員やります」
「はっ・・・?」
おぉー!!っと周りから感心の声が上がったが、
には全く聞こえていなかった。
「じゃあよろしくな。柳、
」
「はい」
「はっ!?ちょっ・・・蓮二!!」
講義しようとする
を押さえ込むと、柳は珍しくニヤッと口元を上げた。
「しばらくはテニススクールに行けそうにないな」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
柳が嫉妬♪柳が嫉妬♪
2人で委員会♪2人で委員会♪
た、楽しんでいませんよ!?
断じて楽しんでなんか!!(はいはいはい)
2009.1.18