自分が頑張れる理由・・・。


自分が強気になれる理由・・・。


自分が自分に勝てる理由・・・。


それはきっと、誰かが応援してくれるから。













No.8    『理由』













ガタンッ・・・ガタンッ・・・。










電車に揺られながら私はいつになく緊張していた。
今はテニススクールに通う途中・・・そのせいか?
でもただテニスをしに行くだけなのに・・・。









「なんでだろう?」










疑問は残りつつも目的の駅で降りて地図を頼りにテニススクールへ向かう。
しばらく歩くと・・・まぁ予想はしていたが。










「迷った・・・」










見事に。ど、どうしよう?迷った。
蓮二に電話・・・ダメだ。部活中だろうしここは地元ってわけじゃないし・・・。










「ぜ、絶対絶命・・・?」





「あの、どうかした?」










パッと後ろを振り返るとスポーツ刈りの少年が少し遠慮がちに立っていた。
見た目同じ歳にみえる。










「えっ、あ!道が・・・分からなくなっちゃって」
「どこ?俺に分かるところなら案内してやるよ」
「本当!?」










早速、手に持っていた地図を2人で覗き込みテニススクールがあるはずの場所を指差した。










「ここ。ここに行きたいの!」
「えっ。ここって・・・」
「どうかした?」
「俺も今からここに行くんだよ」










えっ?





よく見ると彼もまたテニスバッグを肩にかけていることに今更ながら気付いた・・・。










「一緒だったな」










ニカッと笑う彼につられて私も笑った。










それから2人並んでテニススクールへ向かいながら、他愛もない話をしてお互いすぐに打ち解けていった。










「本当に助かったよ。私は 。立海の3年」
「あ、年上か。俺は2年の・・・不二、裕太」
「不二?」










その名前を聞いた瞬間、頭の中で何かが引っ掛かった。

不二・・・不二・・・。どこかで聞いたような。










「青学に兄貴がいて・・・不二周助っていって」

「あっ!!」










思い出した!!貞治に会いに青学へ行ったときにいた不二くん!!
蓮二がよく言ってた天才・不二!!










「兄貴のこと知ってんの?」
「うん!1度会ったことがあって」



「ふーん・・・。どうせあんたも俺のこと天才不二の弟とか言っ・・・」

「でも裕太って身体がガッチリしてて背も高いから全然違うテニスしそうだよね。早く見てみたいなぁ!」



「・・・えっ?」










裕太は足を止めると私の目をジッと見つめて動かなくなった。










「裕太?」
「言わねぇの?お前不二の弟か!って」
「言ってどうするの?」
「あっ・・・いや」

「裕太は裕太じゃん」










ニッコリ笑う に・・・裕太は思わず見とれてしまった。










「裕・・・?」

「初めてだ」

「えっ?」

「こうして・・・「俺」を見てくれる奴」










裕太が本当に嬉しそうに笑うから・・・ は思わず見とれてしまった。










「あっ。悪ぃ、やっぱ初めてじゃねぇや」
「はっ?」
「兄貴と比べないで俺を見てくれた奴、 が初めてじゃねぇや。もう1人いるんだ」
「へぇ!」
「観月さんって言うんだけどさ・・・。今度会わせてやるよ!!」










裕太の顔を見てわかる。
きっと裕太はその観月さんって人を心から尊敬してるんだ・・・。



最初に私を覆っていた不安感は次第に薄れていき、自然と笑顔が浮かぶようになっていた。










「ほらっ!ついたぜ」










顔を上げると、そこには緑が眩しい綺麗なテニスコートが何面にも広がっていて
どこからかボールを打つ音が響いてきた。










「広ぉーい!!」

「だろ?今、受け付けしてきてやるから。ちょっと待ってろよ」










そういうと裕太は受け付けをするため入口の係員の元へ歩いて行った。










「広いし綺麗ー。立海より広いかな?」










電車の中での緊張はどこへやら。
私は裕太と出会ったことで不安はワクワクした期待に変わっていた。










「おやっ。見ない顔ですね?」










後ろからの声に振り返ると、制服を着た男が私を見ながら笑った。










「んふっ。お1人ですか?」

「えっ。いや・・・」



「観月さん!?」










受け付けを済ませた裕太が帰ってくると、男を見て叫んだ。

あっ。この人が・・・。










「おやおや、裕太くんの彼女さんですか?」
「ち、違いますよ!立海大の3年生です!!」

・・・です」

「そうでしたか。私は観月と申します。以後・・・お見知りおきを」










私の手を取るとニコッと、観月は笑った。















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ルドルフに高校があっただろうか・・・(汗)

とりあえずテニススクールって言ったら

こいつらだったもんで・・・友情出演。






2008.12.28