「納得いかねぇー!!」

「諦めろ。現実を受け止めるんだ」

「俺も納得いかん・・・」

「合格おめでとう。

「ありがとう。幸村」













No.4    『ブラックリスト』













「なぁ 。お前もそう思うだろ?何でまた柳と は同じクラスで俺らはバラバラなんだ?」

「私はせっかくの休みなのになぜか家にあんた達全員が集まったことが納得いかないわ」

「諦めんしゃい。現実を受け止めるんじゃ」

「あんたもよ仁王」










日曜日の午後。
無事高校にも合格し、転校までの貴重な休みを使って家中の掃除を企んでいたら
なぜか蓮二を先頭にテニス部全員がうちに大集合した。










「だいたい何!?全員そろってゾロゾロと!!」

「近くを通ったものだから・・・」

「嘘つけ!!」










これでは私の大切な日曜日がめちゃくちゃだ。
しかしジャッカルと柳生が手土産を持って来たため追い返すことが出来ない・・・。










「ハァ・・・。まっ、来たものはしょうがないか。お茶入れるから待っててね」

「フッ・・・」










隣で蓮二が小さく笑ったのが聞こえて振り向いた。










「なに?蓮二」

「なんでも」

「んー?」










まぁ、いいか。

さっそく人数分のお茶を用意するために私はキッチンへ向かった。










「どうしました柳くん?なんだか嬉しそうですね」

「柳生。あぁ・・・」

さん・・・ですか?」










柳はキッチンに立つ にゆっくりと目を向けると愛しいようにその瞳を細めた。










「大切なんですね。 さんのことが」

「当たり前だ。あいつの事は小さなころから見てきたからな・・・」










普段は見たことがないくらい優しい表情をする柳に、柳生は小さく独り言を呟くように言った。










「私・・・ さんに告白しました」

「えっ・・・?」










さすがに柳は驚いた様子で柳生を見た。










「いつ?」

「あの夏の合宿が終わった後すぐに」

「それで・・・」

「フラれましたよ。今は私だけを好きになることは出来ない・・・と」










微笑む柳生は落ち込んでいるようではなかった。
柳は安心したようにリビングでワイワイと騒がしいメンバーに目を向けた。










「あいつらしいな」

「えぇ・・・」

「未練は?」

「一応、ありますよ」










「好きでしたからね」っと柳生は言った。










「諦めるのか?」

「最初はそう思いました。しかし・・・私もなかなかしつこい男のようです」










「そうか」っと柳は笑った。










「言っておくが・・・手助けなどしないからな?」

「期待していませんよ」

「むしろ邪魔をするかもな」

「それは困りますね・・・」










その時、人数分のお茶をいれた が戻ってきたこともあり、柳生と柳は輪の中に戻っていった。




















日が暮れて、星がチラチラと見え始めたころ幸村が時計を見て立ち上がった。










「もうこんな時間だし、そろそろ帰ろうか」

「長居してすみませんでした。 さん」

「楽しかったよ。ブン太と赤也以外ならいつでも来てね」

「ちょっ!なんスかそれー!!」

「何で俺らだけ!?」










は「冗談だよ」と笑って外まで見送りに出た。










「じゃあまた明日ね。

「うん。バイバイ」










姿が見えなくなるまで見送ると隣にいた蓮二と目を合わせてニコッと微笑んだ。










「なんだ。ずいぶんご機嫌だな?」

「えっ?そうかな」

「あぁ。嬉しくてしょうがないって顔してるぞ」










そっと頬を撫でると はくすぐったそうに笑った。










「また・・・」

「ん?」

「またあの夏の日みたいに・・・みんなで過ごせるかな?私達」

「あぁ。これからはずっと一緒だ」










その言葉に は安心したように笑った。



「帰るか」っという蓮二の一言に2人は同じ方向へ歩き出した。










「蓮二こっちだっけ?」

「お前と少し話しながら帰る。今日は邪魔が多かったからな」

「邪魔?」

「あぁ」

「なんの邪魔?」

「色々」

「はぁ!?」










不満の声をあげる の隣で蓮二は少し口元をあげてノートに書き込みを始めた。










柳生の奴・・・まさか俺の知らない所で に告白なんて。
やってくれた。今日の様子からして赤也や丸井も注意が必要だな。

まぁ・・・当の本人が無自覚って所が1番の問題か。










そこまでほのぼのと考えていた所で柳に雷が落ちたような衝撃が走った。










待て。

待て待てまさか。










「おい。

「なに?」

「お前・・・俺以外に抱き締められた経験はあるか?」










「えっ」っと小さく漏らすと にしては珍しくバッ!と視線を外して耳まで真っ赤にして言った。










や。ない、よ?ないない

「そうか」










笑顔だったが同時に殺気に似たオーラが柳を包み込んだのだった・・・。















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

柳お兄ちゃんは強敵ですよ。

えぇ、そりゃあもう・・・。

ありとあらゆる邪魔をしてきますよ。








2008.9.22