ピピピピピピピピピピッ・・・バンッ!!
「・・・ふわぁ」
No.2 『揺るがぬ決心』
テレビのスイッチを入れて流れてきたニュースを見ながら熱々のコーヒーをいれる。
ソファに座ってコーヒーを一口味わった時にフッと思った。
「帰って・・・きたんだなぁ」
思い出すなぁ・・・。なんて1人物思いに更けっていると
携帯から自分の設定した音楽が流れ電話がきたことを知らせた。
「もしもし、蓮二?」
『
か。起きてるな』
「うん。おはよ」
『あがるぞ。いいな?』
「うん?」
ピンポーン。
ガチャ!!
「じゃまをす「待てオイッ」
いくら従兄妹同士とはいえ、その自由さはいかがなものか?
・・・っと言うか電話する意味があったのか?
これは軽くストーカー行為なのではないか?
うまくいけば裁判で勝てる自信すら出てきた。
「いい加減にしてよ蓮二!ストーカー行為及び不法侵入で警察に通報するぞ!!」
「やれるものならやってみろ。誰がこの家の大掃除と片付けを手伝ったと思っている」
ソファにドカッと座っている蓮二がニヤッと笑ったように見えたのはたぶん気のせいだろう。
「そ、そんなこと・・・。女性が困ってたら助けるのが紳士ってものじゃない?」
「悪いがその答えは柳生にでも聞いてくれ。それとも・・・高校へ編入するための勉強を手伝わなくてもいいと?」
「蓮二くーん。コーヒーとお茶どっちがいいー?(棒読み)」
「お茶」
こいつ・・・前より腹黒さが増してないか?
いつか絶対蓮二に「ごめんなさい」と言わせてやる・・・!!
「そういえば、
がこの時間まで寝ていたなんて珍しいな?」
「えっ?あぁ・・・。時差ボケってやつかな・・・まだこっちに体が慣れなくてさ」
「そうか・・・」
2人一緒にお茶を口に運ぶ。
少しの・・・間。
湯飲みをコトンッとテーブルに戻してから蓮二が小さく呟いた。
「話してもいいぞ・・・」
「えっ?」
「全部話せ。向こうであったこと・・・全部」
蓮二は・・・昔、私が苦手だった優しい目をして言った。
そう、昔は・・・。
「ありがとう。蓮二・・・そのために今日、うちに来てくれたんだね?」
今はその優しい目が・・・心地いい。
「両親には?」
「会えたよ。とりあえず引き分けって感じかな?
自分が言いたかった事は全部言ってきたし・・・親は親で楽しく過ごしてたみたいだったから」
「向こうではどうしてた?」
「元気にやってたよ。蓮二達は?」
「何も変わらない。お前がいなくなったこと以外はな・・・あれほど連絡しろと言ったのにお前はまったく」
「ごめんごめん!でも・・・蓮二達に電話や手紙なんてしたら、きっと自分に負けて日本に帰りたくなると思ったから・・・」
帰れる場所があるから。待っていてくれる仲間がいたから。
私はあの境遇にも立ち向かえて行けたんだと思う。
「両親に会った時ね・・・また昔みたいに拒絶されるかと思ったけど、意外にも落ち着いて話を聞いてくれたの」
蓮二は黙ってこちらを見つめながら話を聞いてくれた。
「でもやっぱり昔のことがあったから親も私もギスギスしちゃってね・・・
一緒に暮らそうとは思わなかった。でも、会いに行ってよかったと思ってる」
「本当に、よかったのか?」
「うん。1人暮らしにはもう慣れたしね!それに・・・」
「・・・なんだ?」
「なんでもなーい」
「はっ?」
みんなが「待ってる」って・・・言ってくれたから。
蓮二の不思議そうな顔を見つめてフフッと笑みを浮かべた。
「そういえばアレ。何なんだ?」
「アレ?」
「トロフィーだ。直也の墓に置いてあった・・・お前のだろ?」
「うん。親と話した後にね、参加できる大会には全部参加したの。もちろん・・・優勝する気で」
「そうか。あのトロフィーは直也への・・・誓いみたいなものか」
――― 直也・・・ごめん。私ずっと逃げてた。すべてから逃げてた。
でも直也、私もう逃げない・・・。何にでも立ち向かっていくよ。
約束する・・・。だから、見守っててくれるよね? ―――
「いくつもの大会に出場したけど・・・優勝できたのはほんの2回だった。1つの優勝は両親の所に置いてきたよ」
「
が本気を出して戦って勝ち取ってきた優勝だ。直也も・・・満足するだろ」
これでもう過去の私はいない。
これから・・・私は変わっていこう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
柳をストーカー及び不法侵入罪で
裁判をおこせば勝てると思う人ー。
挙手ー。はーい。
2008.7.30