テニスで1番強くなってやる!

そう意気込んでテニス部入ったら先輩達にズタズタに負けた。

でも俺は逆に燃えた。

この先輩達が最強だ。

この人達に勝てれば俺は1番になれるんだ。

そう思ってただがむしゃらにテニスをした。強くなりたい。

勝ちたい!勝ちたい!!

俺はただ勝つためにテニスを極め続けた。










「ねぇ・・・赤也は何のためにテニスをするの?」










あの人が現れるまでは・・・。










「戦う理由が無いなんて悲しくない?赤也は・・・戦う理由を見付けて」










そう言ってあの人は俺の前から消えた・・・。



先輩は・・・俺達の前からいなくなった。










「先輩・・・ 先輩!!」













No.1    『新しい物語』













ピピピピピピピピピピピピッ・・・!!!



バンッ!!










「・・・夢かよ・・・」










最悪だ・・・手と背中なんてビッショリ汗かいてやがる。



先輩が海外に飛んでから数年が経った・・・柳先輩にすら連絡がないらしい。










「はぁ・・・。あっ?ヤベッ!部活!!」










高校の制服に大急ぎで着替えると俺は家を飛び出した。




















「今日の練習はこれで終了!!」



「「「ありがとうございましたぁー!!」」」










部活終了の号令がかかった途端、部員のほとんどがその場に座り込んで息を荒げた。










「情けねぇなー。しっかりしろぃ」

「あーらら。ほとんどがギリギリけぇ・・・これじゃ片付けは俺らがやるようじゃな」

「ゲッ!マジっスか!?」










高校生になってもメンバーは相変わらず。
中学の頃となんら変わりない毎日を過ごしてた。










「ねぇ。今日みんなでご飯行かない?」










幸村部長がそう言い出すまでは・・・。










「いいっスねー!行きましょ行きましょ!!」

「でも急にどうしたんだよ幸村?」

「ん?気分・・・かな」










それから全員でファミレスに入って食事をした。



あ、そう言えば・・・あの時もみんなで飯食いに行ったっけ。
先輩がいきなり食事に行こう!って言い出して・・・
それで幸村部長の通院してた病院まで押し掛けて・・・。

なんか笑えた。

だって 先輩って見た目大人っぽいくせにどこか子供で、頭いいくせにどこか抜けてて。





それで・・・。










「そういえばさー。あの時もこうして飯食ったよな」

「あぁ。 が幸村の病院まで押し掛けてな」

「あっ・・・」










なんだよ・・・。みんな考えてること同じじゃん。
もしかして幸村部長がいきなり食事に誘ったのも・・・?
そう思うと少し笑えてきて、バレないように隠れてクスクスと笑った。




















「ちょっと寄りたい所がある」










腹も満たされた帰り道。

柳先輩が急にそう言い出した。










「わかった。そこの公園で待ってるよ」

「悪いな。すぐ戻る」










柳先輩がどこかへ消えた後・・・1人だけ話を分かっている幸村部長に全員の視線が移った。










「幸村は知っとぉ?参謀の用事」

「墓参り・・・だよ」

「墓参り?」

「そう。 の弟・・・直也くんのね」










空気が一瞬固まったような気がしたが、全員納得したように頷いた。










「ここの近くでしたか」

「なら柳が帰ってくるまで、黙って待ってますか」

「だな。邪魔できねぇよ」










それから数十分・・・さすがにちょっと遅すぎる。










「柳先輩遅いっスねー・・・。すぐだって言ったのに」

「墓参りくらいゆっくりさせなよ。それに・・・あ、ほら!来たよ」










見ると柳先輩が全速力でこちらに駆け戻ってきていた。










「なんだ?柳の奴なんで走ってんだ?」

「何かあったのでしょうか」










確かに・・・。確かに少し柳先輩の様子がおかしい。
柳先輩は膝に手をついて荒くなった呼吸を整える間も無く叫んだ。










「早く・・・早くあいつを探すぞ!」

「はっ?」










あいつ?










「何だよ、どうしたんだよ柳?」

「さっき・・・直也の墓にトロフィーがあった」

「トロフィー?なんでそんなもの・・・が」










ザァ・・・!!





強い風が背中に吹き付けた。

まるで、俺達の背中を押すように・・・。










「まさか・・・」

「1人しか・・・いないだろ?」










弾けたように全員で同じ方向に走り出す。





まさか・・・まさか・・・!

でも、それしか考えられねぇ!!

本当にあの人が帰ってきた?

だとしたら・・・だとしたら何処にいる?

本当に帰ってきたかも分からないのに、なぜか俺達の足は止まることなくある場所へ向かっていた。

一緒に走って、一緒に笑って、一緒にテニスをした・・・。

思い出が濃い・・・あの学校のコートへ向かって走っていた。










「ハァ・・・ハァ・・・」










ずいぶん懐かしいコートの感触。そこの真ん中に立っていた懐かしい後ろ姿。

マジかよ・・・本当に・・・。










「本当に・・・いた」










全員が目を離さないその後ろ姿は俺達に気付いたのか、ゆっくりと振り返った。










「少し・・・背が伸びた?赤也」










あぁ。

その声も・・・懐かしい。










「かなり伸びましたよ・・・。 先輩が、いない間に・・・」

「みんな大人っぽくなったね・・・でも全然変わってないや」










ジワッと目に込み上げてくる熱い何か。

俺はそれをグッと押し込めて、ニカッと満面の笑みを浮かべた。










「おかえりなさい! 先輩!!」










こうしてあの人は・・・俺達のもとへ帰ってきた。















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

始まりました!!

いや・・・帰ってきました!!

お帰り「Fade」!!おかえり野郎ども!!

た、ただいま!!(自問自答!?)

新しくなった「FadeU」と高校生になった立海メンバーを

これからよろしくお願いします!!







2008.7.12