自分に厳しく出来る人。
それは他人に優しく出来る人。
それが出来る人間は・・・数少ない。
cry.18 〜 Don’t cry 〜
「お!
ー!!」
「桃城先輩・・・?」
が廊下を掃除していると、後ろから部活に向かう桃城が駆け寄ってくるのが見えた。
「なんだよ。掃除当番か?」
「はい」
「そっかー・・・あ。
、お前口開けてみ?」
「?」
訳もわからないまま口を開けると、桃城はポイッと何かを放り込んだ。
「ん・・・?」
「やる!じゃあ部活でなー」
手を振りながら去っていく桃城を、
は口の中の物を舌で転がしながら見送った。
「甘い・・・」
広がる飴玉の甘さに
は笑みを浮かべた。
「あぁ!?もういっぺん言ってみろマムシ!!」
「何度だって言ってやる!フシュー!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
コートの隅で喧嘩をする桃城と海堂。
は止めようにも、どうしたらよいのか分からず、その様子をただ見守っていた。
「にゃー?まーたやってんの?あの2人ー?」
「あ、菊丸先輩!あの、どうしたら・・・」
「あぁ、いつもの事だから気にしなくて大丈夫ー」
「大丈夫って・・・」
心配そうに見つめる
に、菊丸は頭をかきながら「うーん・・・」と唸った。
「じゃあ、こうしてみたら?」
「えっ?」
の耳元に口を寄せて何かを小声で伝える菊丸。
それを聞き取った
は首を傾げた。
「・・・それ言ったらどうなるんですか?」
「それはやってみてからのお楽しみー♪って事で、ホラッ!行った行った!」
菊丸に背中を押され、つまづくように桃城と海堂の前にやってきた
は勇気を出して桃城に向き直った。
「も、桃城先輩!」
「あぁ!?」
ビクッ!!
あまりにも迫力があり過ぎる桃城の返しに、
は体を震わせた。
「あ、す・・・すみませ・・・」
か細い声で呟くと、桃城はハッ!としながら額に汗をにじませた。
「あっと!悪ぃ
!驚かせちまって!!」
「えっ・・・あ」
「別にお前に怒ったわけじゃねーんだよ!悪ぃ!本当にごめんな!?」
すまなそうな表情で、何度も何度も謝罪の言葉を繰り返しながら桃城は
の頭を撫でた。
「
の前で喧嘩なんて格好悪ぃよな。格好悪ぃよ」
海堂に目を向けてニッと笑うと、海堂もバツが悪そうな表情をしてその場を去っていった。
「驚かせちまったお詫びに何か手伝うぜ。力仕事はあるか?
」
「あ・・・はい」
ニカッと笑う桃城につられて、
もニコッと笑みを浮かべた。
「菊丸先輩の言った通りだ・・・」
「ん?何か言ったか?」
「あ!いえ、なにも!!」
(悲しそうな顔して、桃の名前を呼んでみ?)
桃城先輩は優しい人だから・・・自分の事そっちのけで私の心配をしてくれたんだ。
は遠くでブイサインをする菊丸を見てクスッと笑った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ヒロインと桃城先輩との絡みでした。
桃城はきっとヒロインのことを「目が離せない妹」
みたいな目線で見てると思います。
少し困った顔をするとどこからか助けに来ればいい!!
2010.10.1