今までずっと1人だったから・・・。


手を差し延べられても・・・


どうすればいいか分からなかった・・・。















cry.9   〜 Don’t cry 〜















バァン!!





「何だってー!? ちゃんがテニス部のマネージャーだと!!?」

「親父うるさい」










私のマネージャー就任が決まったことを報告したら、南次郎さんは机を叩きながら立ち上がった。










「お父さんは許さねぇぞ!可愛い娘が夕方まで帰って来ないなんて心配で心配で」
「おじ様。マネージャーってことはリョーマさんと一緒に帰って来れますよ」










ね?っと菜々子さんに笑顔を向けられ、私は思わず固まった。
えっ?マネージャーになったら越前と一緒に帰ってくるの?










「そうなのか? ちゃん、リョーマ」
「いや・・・それは」
「当たり前じゃん」










マジですか・・・。










「なら安心じゃないですか!それに、大会のときは ちゃんとリョーマさんの応援にも行けますし!!」










菜々子さんはもうノリノリだ。
私は味噌汁を啜りながら今後に不安を募らせていた・・・。































キーンコーンカーンコーン。










「な、何で越前がうちのクラスに来るの・・・」
「迎えに来た。部活行こ」










特に感情が込められていない俺の言葉に、 は警戒するように教室を出た。
仕方ないから黙ってその後ろをついていく。










突然マネージャーをやると言い出したのは正直、意外だった。

親父が何か言ったのか・・・とりあえず、これが にとって何かの「きっかけ」になればいいと思う。










「あ、あのさ・・・」
「ん?」










の呼び掛けにリョーマはハッと我に返った。










「別に・・・誘ってくれたからやるってわけじゃ、ないからね」
「何が?」
「マネージャー・・・」
「あぁ。はいはい」










リョーマが追い付き、2人は並んで歩きながら目も顔も合わせずに会話を続けた。










「それは分かってるけど・・・じゃあ何で急にやる気になったわけ?」
「それは・・・」










少し、意地悪をしてみたくなった。










「興味・・・あったから」
「ふーん。俺の側にいたいからじゃないんだ?」

「はぁ!!?」










にしては珍しく、大きな声を上げながら振り返る。
見ると、顔を真っ赤にしながら金魚のように口をパクパクとしていた。










「な、何言って・・・!!」
「冗談に決まってんじゃん」










スカした顔で の横を通り過ぎると、リョーマはバレないように笑いを堪えた。










(可愛いとこあんじゃん・・・)





















「昨日話したマネージャーが、今日から練習に加わることになった。軽く自己紹介を頼む」
「はい。1年の です・・・ご迷惑もかけるかと思いますが、頑張りますのでよろしくお願いします」










深々と頭を下げると「よろしくー」「よろしくね!」っと明るい声が返ってきた。










「では、まずは仕事を覚えてもらう。大石、彼女に仕事を教えてやってくれないか」
「あぁ。じゃあ さん、こっちに来てくれる?」
「はい」










大石と呼ばれた3年生に案内され、 が部室に消えて行くと桃城がリョーマをラケットで小突いた。










「越前!よくあの子マネージャー引き受けてくれたな!!」
「自分からやるって言ったんスよ」
「おチビみたいで可愛いにゃー!!」
「大会前でよかったね。色々助けてもらえそうだ」










マネージャーが来たことにより期待を膨らませる部員達。
手塚はそんな部員達をまとめるべく号令をかけ、その日の練習は始まった。















「ねぇ、越前?」










練習の合間の休憩中。
リョーマに不二が歩み寄って肩に触れた。










「なんスか?」
「彼女・・・ さんだっけ?何にそんなに惹かれたのかなってね」
「別に。ただつまらなそうだったから・・・」
「つまらなそう?」
「あの人、全然笑わないから。マネージャーやらせてみようと思っただけっス。深い意味なんて・・・」





「本当にないのかな?」










視線を合わせると、不二は穏やかにニッコリ微笑んだ。










「何が言いたいんスか?」
「何と無くね。越前が彼女を守ろうとしてる風に見えたから」










その言葉に、越前は若干ながら目を見開いた。










「クスッ・・・。僕の勘違いだったかな?」










それだけ言うと、不二は華麗に身を翻しリョーマの前から立ち去っていった。















「俺が?」















リョーマは眉を寄せながら首を傾げた。















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

俺はどうやら不二を「ちょっと読めない怪しい奴」

にしたいようですね。そんでリョーマは「意地悪な面倒見」

ここから少しずつ部員1人1人と絡ませていきたいと思います。

さぁ!やるぞー!!(やる気満々)







2009.10.8