離れられていくことが怖くて・・・。
遠くへ行かないでと・・・。
1人でずっと怯えていたの・・・。
cry.7 〜 Don’t cry 〜
「
ちゃん。ご飯出来ましたってリョーマさんを呼んできてくれる?」
「はい」
ドキドキと激しくなる心臓を落ち着かせ、越前の部屋の前で大きく息を吐いた。
コンコンッ。
「
・・・?」
「うん。ご飯・・・出来たから」
「わかった」
「あの・・・越前」
ガチャッ!!
急に開かれた扉に驚いた。部屋から出てきた越前は何も変わらない表情のまま私を見た。
「
。あのさ・・・」
「えっ?」
「ごめん・・・」
険しい表情をしながら俯く越前。私は首を大きく横に振った。
「越前は悪くない。ごめん・・・殴って・・・あの」
「いい。先に酷いこと言ったのはこっちだし・・・
の気持ち、全然考えてなかったから」
「えっ?」
顔を上げると越前は軽く頭をかいて視線を外した。
「俺・・・
のこと知らなすぎた。だから・・・
マネージャーの話は俺から部長に断っておく。本当にごめん」
スッ・・・。と越前が私の横を通り過ぎると、さっき一緒にテニスをした南次郎さんの言葉が頭をよぎった。
――― 嫌な事があった時にはなぁ・・・何かに夢中になるといいんだ。
頭に血が上ったまんまじゃ、まともな考え事なんかできねぇだろ?
「ま・・・待って越前!」
「・・・なに?」
歩みを止めて振り返った越前。私は震える唇をギュッと噛み締めた。
震えたらダメ。
怖がったらダメ。
このままじゃ・・・私はずっと変わらない。
せっかく出会えたチャンスを・・・。
変われるかもしれないチャンスを・・・。
ここで1歩を踏み出さないと・・・!!
「マ、マネージャーって・・・私に出来る?」
「えっ?」
「私でも・・・出来る、かな」
越前は私の目の前まで戻ってくるとポンッ!と私の頭に手を置いて・・・笑った。
「大丈夫じゃん?親父が意外と根性あるって言ってたし」
「えっ、いつ聞いたの!?」
「さっき。しかも負けたんだって?まだまだだね」
越前は悪戯に笑うと、ポカンッと間抜け面をした私を置いて先に廊下へ消えていった。
「か・・・可愛くない・・・!」
込み上げてくる悔しさを抑えると、今度はなぜか少し笑えた。
いつまでも自分の殻に閉じこもっていたら何も変わらない・・・。
変わろうとしなければチャンスも変化もない・・・。
分かってた。分かってたよ。でも・・・「変わる」ことが怖かったから。
私は今まで、ずっと小さくなって震えてた。
――― 大丈夫じゃん?
このままじゃ何も変わらないんだ。
だったら・・・怖くったって自分から1歩を踏み出してみよう。
変われるかも・・・しれないから。
次の日の放課後。
は越前を待たずに自らテニスコートへ赴き、部長である手塚の姿を探した。
「あれ?確か昨日の・・・」
背後から声をかけられ振り返ると、サラサラと髪を風になびかせたテニス部員が微笑みを浮かべていた。
「あの・・・」
「あっ。もしかしてマネージャーの件?」
コクンッと1つ頷くと、彼はまたニッコリ笑った。
ガチャ!
「手塚は今職員室に行ってるんだ。悪いんだけど、部室で待っててくれる?」
「はい」
部室に通されると、思ったより広くて驚いた。
でもその分、部員数が多いんだろうな・・・。
「立ってないで座りなよ。ここどうぞ?」
ベンチに誘われ腰をおろすと、なぜだか彼も私の隣に座った。
「僕は3年の不二周助」
「
・・・1年です」
少し高い位置にある不二先輩の目を見た瞬間・・・すぐにそらしてしまった。
この人・・・すごく綺麗だけど、少し怖い。
「ねぇ、
さん」
「はい?」
「今日はマネージャーの話、断りに来たの?」
「あ、いえ・・・受けに来ました」
私の言葉に不二先輩は少し驚いたようだった。
「昨日あんなに嫌がってたのに?」
「そう・・・なんですけど。考えが変わったんです・・・」
「ふーん。それって越前のおかげ?」
いきなりな質問に今度は私が驚く番だった。
「えっ・・・。そ、そうです・・・ね」
クスッ。
上品な不二先輩の笑い方には・・・やっぱり違和感を感じた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ヒロインと不二をどういった関係で絡ませようか・・・
実はまだ考え中だったり・・・(大丈夫ですかー!?)
仲直りできて良かったねー(人事か)
2009.5.8